研究課題/領域番号 |
22K08779
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55020:消化器外科学関連
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
中嶋 正太郎 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (50723417)
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研究分担者 |
河野 浩二 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (40283204)
三村 耕作 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (90568031)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 食道扁平上皮癌 / cGAS-STING / I型インターフェロン / CD8+T細胞 / CD163+M2-TAM / cGAS-STING経路 / 免疫放射線療法 / インターロイキン34 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は「腫瘍細胞のcGAS-STING経路に着目することで放射線照射がESCCの微小環境に及ぼす影響を明らかにし、ESCC免疫放射線療法の効果を促進する新規治療戦略を確立すること」を目的とする。 本研究により生検標本など腫瘍のcGAS-STING発現を事前に調べることで免疫放射線療法の治療効果や予後を予測するバイオマーカーの開発に繋がる可能性がある。また中和抗体や阻害剤によりIL-34を抑制することで免疫放射線療法の効果を高める新規治療戦略の開発にも貢献することが期待される。
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研究実績の概要 |
本研究では、放射線照射が誘導する腫瘍微小環境に対するcGAS-STING経路の役割を食道扁平上皮癌(ESCC)患者の手術摘出標本及び複数のESCC公開データセットを用いて解析し、さらにESCC細胞株を用いたin vitroの実験系により検討する。 本年度は、ESCC細胞株を用いて放射線照射時に腫瘍細胞が産生するI型インターフェロン(IFN)、CXCL10、CCL5、CSF-1、IL-34の発現に対するcGAS-STINGの影響に関し検討を行った。実験で使用した6種類のESCC細胞株のうち3株はcGAS-STING発現ESCC細胞株、1株はcGAS低発現ESCC細胞株、2株はSTING低発現ESCC細胞株であった。これらの細胞株に対し放射線照射(8 Gy×3)を実施したところ、cGAS-STINGを共に発現する細胞株ではSTINGの下流の因子であるinterferon regulatory factor 3 (IRF3)のリン酸化やI型IFNであるIFNB1の有意な発現誘導が観察された。一方、cGASあるいはSTINGを発現しないESCC細胞株では放射線照射を行った際にIRF3のリン酸化やIFNB1の発現誘導はほとんど見られなかった。そこでcGAS-STINGを発現するESCC細胞株に対しsiRNAを用いてcGAS, STING発現を抑制したところ、同様に放射線照射に対しIRF3のリン酸化やIFNB1およびCXCL10, CCL5の遺伝子発現誘導が有意に抑制されたことから、ESCC細胞株におけるcGAS-STINGの発現が放射線照射によるI型IFN応答の誘導やT細胞の遊走に関与するケモカインの産生に重要であることが明らかとなった。 またマクロファージの分化や極性に影響を及ぼす因子としてCSF-1およびIL-34が知られているが、ESCC細胞に放射線照射を実施した際に、これらの因子の発現誘導が見られるか否か、またcGAS-STING発現の影響について検討を行った。大変興味深いことに、放射線照射によりIL34のみ高い発現誘導が見られ、放射線照射によるIL34の発現誘導はcGASやSTINGを抑制することで有意に減弱することが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書の研究計画に基づき、ESCC細胞株を用いて放射線照射が誘導する種々のサイトカイン、ケモカイン産生誘導に対してcGAS-STING経路が及ぼす影響に関して解析することができている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度の研究では、放射線治療を受けたESCC患者の腫瘍組織を用いて免疫組織化学染色を実施し、腫瘍細胞内cGAS-STING経路がCD8+T細胞の浸潤に及ぼす影響について検討を行う予定である。
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