研究課題/領域番号 |
22K08796
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55020:消化器外科学関連
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
森田 剛文 浜松医科大学, 医学部附属病院, 特任講師 (60464129)
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研究分担者 |
武田 真 浜松医科大学, 医学部, 助教 (50839157)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | Cancer neuroscience / 膵癌 / 神経周囲浸潤 / 癌微小環境 / 細胞間相互作用 |
研究開始時の研究の概要 |
膵癌は集学的治療が進歩した現在でも極めて予後不良であり、新規治療法の創出が強く望まれている。膵癌の特徴の一つとして、極めて高頻度に神経周囲浸潤を伴い、予後不良因子の一つであるが、その詳細なメカニズムは未だ不明である。本研究では、癌細胞と全身の神経システムとの相互作用が癌の進行に影響する、Cancer neuroscienceという概念に基づいた、これまでに無い全く新たな治療法を創出することである。
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研究実績の概要 |
膵癌の特徴の一つとして、極めて高頻度に神経周囲浸潤を伴い、予後不良因子の一つである。神経周囲浸潤は膵癌細胞-神経細胞間における分子レベルでの相互親和性が関与しているとされるが、その詳細なメカニズムは未だ不明である。これまでに我々はin vitro膵癌-神経細胞共培養モデルを確立し、神経周囲浸潤に関する研究成果を報告してきた。このモデルは癌細胞と神経細胞をマトリゲルに包埋した状態で共培養することによって、経時的に両細胞の挙動と相互作用を観察できる。また、癌細胞と神経細胞の組み合わせだけで無く、癌細胞・神経細胞・線維芽細胞や癌細胞・神経細胞・マクロファージといった、より複雑な生体内の癌微小環境を模倣する実験系に発展させることが可能である。 膵癌細胞株(Miapaca-2、PANC-1、BxPC-3、Capan-2)と1日齢マウスから採取した後根神経節(Dorsal root ganglia: DRG)に加え、膵星状細胞(PSC)を加えた状態で共培養を行い、癌細胞の遊走能や神経線維の伸長作用を確認したところ、癌細胞株の遊走能が大幅に亢進した。 膵癌細胞株・DRG・PSCを共培養し、培地中に含まれる液性因子の網羅的解析を行ったところ、SPARC(secreted protein acidic and rich in cysteine)やFibronectinなどが上位で検出された。膵癌間質でのSPARCの発現は予後と関連すると言われている。 2000年〜2019年の期間に、当科で切除した膵癌90例のホルマリン固定切除標本を用いてSPARCの免疫染色を行った。神経周囲浸潤陽性の症例では、神経周囲のSPARC発現を認め、神経周囲浸潤がない症例や非癌部ではSPARCの発現は弱いか認めないと思われた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和4年度は研究計画則り、以下の研究実績が得られていた。 膵癌細胞株(Miapaca-2、PANC-1、BxPC-3、Capan-2)と1日齢マウスから採取したDRGに加え、膵星状細胞(PSC)を加えた状態で共培養を行い、癌細胞の遊走能や神経線維の伸長作用を確認したところ、癌細胞株の遊走能が大幅に亢進した。 膵癌細胞株・DRG・PSCを共培養し、培地中に含まれる液性因子の網羅的解析を行ったところ、SPARCやFibronectinなどが上位で検出された。 令和5年度は、上記の結果を得て実験で変化の明らかとなった液性因子(SPARC)を直接阻害または受容体を阻害した条件で共培養を行い、癌細胞の遊走能や神経線維の伸長作用が変化するかどうか確認する予定だったが、達成できなかったため。また膵癌自然発生モデルマウス(KPCマウス)に候補物質を投与し、神経浸潤や癌の進行が抑 制されるか確認する予定だったが達成できていない。
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今後の研究の推進方策 |
膵癌細胞株(Miapaca-2、Panc-1、BxPC-3、Capan-1)とDRGを共培養し、培地中に含まれる液性因子(サイトカインやGrowth factor、エクソソームなどが含まれる)を回収する。 今年度の実験で変化の明らかとなったSPARCを直接阻害または受容体を阻害した条件で共培養を行い、癌細胞の遊走能や神経線維の伸長作用が変化するかどうか確認する。 膵癌自然発生モデルマウス(KPCマウス)に候補物質を投与し、神経浸潤や癌の進行が抑制されるか確認する。 得られた研究成果を論文としてまとめることで、世界に広く公表する予定である。
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