研究課題/領域番号 |
22K08798
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55020:消化器外科学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
長井 和之 京都大学, 医学研究科, 講師 (30567871)
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研究分担者 |
増井 俊彦 京都大学, 医学研究科, 客員研究員 (20452352)
波多野 悦朗 京都大学, 医学研究科, 教授 (80359801)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 胆道癌 / 腫瘍内不均一性 / 癌幹細胞 / 微小環境 / ニッチ / 癌オルガノイド / 膵癌 |
研究開始時の研究の概要 |
癌幹細胞は多様な癌細胞を供給、腫瘍内不均一性をもたらし、癌の治療抵抗性の一因と考えられている。一方、癌幹細胞の可塑性の存在や、その維持・増殖に果たす周囲の微小環境、ニッチの役割から、癌幹細胞のみを標的とする治療では不十分な可能性がある。我々は、ヒト胆道癌患者由来オルガノイドにおける同一腫瘍内の癌幹細胞クラスターと癌幹細胞ニッチの共存を確認し、また胆道癌幹細胞を選取できる新規マーカーの候補を同定した。本研究では胆道癌において、癌幹細胞ニッチおよびニッチと癌幹細胞との相互作用の分子機構を解明し、癌幹細胞の phenotype 形成自体を標的にした新しい癌幹細胞標的治療を創出することを目的とする。
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研究実績の概要 |
難治性固形癌のひとつである胆道癌は、薬剤に対する抵抗性や耐性獲得、再発・転移等の生物学的特性を有しており、それらは腫瘍組織内における癌細胞の多様性、すなわち「腫瘍内不均一性 (intra-tumor heterogeneity)」および「癌幹細胞 (cancer stem cell: CSC)」の活動として捉えることができる。CSC自体を治療標的とする治療法は、これまで有効性を示すものはなく、非癌幹細胞は周囲の微小環境、ニッチ(niche)によってCSCにリプログラムされ得ることが分かり、CSCの根絶には CSCそのものを標的とするだけでは不十分な可能性が示されている。 本研究では胆道癌幹細胞および癌幹細胞ニッチの特性、相互作用、腫瘍内不均一性を生じる分子機構を解明し、治療薬への展開、すなわちCSCおよびニッチを標的とするCSC niche-targeting therapyを創出することを目的としている。これまで本研究では、新規樹立したヒト胆道癌由来癌オルガノイドを用いたsingle-cell RNAsequence解析によって、癌オルガノイドを構成する細胞集団がそれぞれの分化度によって大きく3種に分類でき、これらのクラスターがTACSTD2 (TROP2) をマーカーとして分類できる可能性を示した。またCSC niche因子としては1種のクラスターが主として発現するWNT7A/Bである可能性を示し、以上の結果は論文として公表している。また、手術検体を用いたWNT7A/BおよびTROP2の免疫染色により、基礎実験で得られた腫瘍内不均一性が、臨床検体においても再現性をもって確認できている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでの研究成果を論文として発表しており、研究としては順調に進行していると考える。手術検体を用いたWNT7A/BおよびTROP2の免疫染色により、基礎実験で得られた腫瘍内不均一性が臨床検体においても再現性があることも確認できている。一方で生細胞を用いたFACS (fluorescence activated cell sorting) ソーティングを計画しているが、臨床サンプルを用いた実験には技術的ハードルが存在し、やや遅れている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
ヒト胆道癌由来癌オルガノイドを用いたsingle-cell RNA-sequence解析によって、CSC niche因子としてWNT7A/Bが候補として得られており、その制御因子としてdopamineのほか、未公表の候補因子が複数確認できている。FACSソーティングされた生細胞を用いて、これらの候補因子から治療ターゲットの同定を進めていくことを計画中である。
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