研究課題/領域番号 |
22K08805
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55020:消化器外科学関連
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
野中 隆 長崎大学, 病院(医学系), 准教授 (30606463)
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研究分担者 |
松本 桂太郎 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (80404268)
小山 正三朗 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 客員研究員 (20815972)
高村 祐磨 長崎大学, 病院(医学系), 医員 (20866636)
富永 哲郎 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (60457546)
朝重 耕一 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 客員研究員 (70457547)
永安 武 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (80284686)
山本 郁夫 長崎大学, 海洋未来イノベーション機構, 教授 (10392953)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 組織蛋白融合 / 縫合不全 / 創傷治癒 / 自動吻合器 / 銀系抗菌剤 |
研究開始時の研究の概要 |
直腸癌術後の縫合不全率は未だに高く、それによって人工肛門を受け入れざるを得ない患者も少なくない。今回は直腸癌術後縫合不全軽減を目的とした蛋白組織融合技術を応用した画期的な消化管自動吻合器の開発と、吻合部の腸管内腔から充填する抗菌作用を有したゲル状の注腸充填吻合部保護製剤を開発し、直腸癌術後の縫合不全低減化を目指す。その結果、直腸癌手術に伴う人工肛門造設率を下げることが可能になると思われる。
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研究実績の概要 |
消化器外科手術において消化管吻合は、現在ステープラーが主流になってきたが、吻合部の破綻(縫合不全)は未だに大きな問題である。特に直腸癌手術において、縫合不全が生じる割合は10%以上とされ、患者のQOLは著しく低下する。近年、様々な吻合部マネージメントが行われるようになったが劇的な縫合不全の改善は見られていない。一方で、腸管内腔から吻合部への局所抗生剤投与により縫合不全を低減化できるという報告があり、直腸吻合部内腔側の局所感染コントロールの重要性が明らかになった。直腸癌術後縫合不全を軽減するために組織融合技術を応用した新たな消化管吻合法の開発と、吻合部の局所感染を予防目的とした腸管内腔から充填する抗菌作用を有したゲル状の注腸充填製剤を用いた新たな吻合マネージメントの開発を開始した。 (Ⅰ)腸管融合性の検証としては、シーリングデバイスとしてはLigaSureを用いてマウスを用いた吻合モデルを作成。腸管壁の融合は比較的良好であったが、吻合強度がコントロール群(手縫い吻合)と比較して低い結果が出ている。そこでいくつかの介在物(バイクリルメッシュ)を用いて吻合強度を上げる実験を行っている。組織学的にも癒合評価を行い組織学的には術後7日目には癒合が得られていることを確認できた。 (Ⅱ)銀系抗菌剤含としてはアルギン酸ゲルの開発と消化管吻合への効果の検証としては、銀系抗菌剤含有アルギン酸ゲルの抗菌作用の検証に必要な感染起炎菌の安定した培養・管理条件の設定中である。 (Ⅲ)新たな腸管シーリングシステムの開発としては現在タンパク癒合を形成できる出力条件の調整中である。出力設定は既存のデバイスを参考にして行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
(Ⅰ)組織シーリングシステムによる腸管融合性の検証:Ex vivoモデルを用いた腸管壁癒合に必要な条件の検証では組織評価まで進むことが出来た。生体動物を用いた評価でも縫合不全は認めず良好の成績であった。しかし吻合強度の懸念が残り、これを克服するための取組みに時間を要している。 (Ⅱ) 銀イオン含有物質・水溶性抗生剤ゲルの開発と消化管吻合への効果の検証:周術期外科感染症領域で検出される縫合不全に影響するとされる(腸球菌、セラチア菌、緑膿菌)を選択し、感染起因菌の培養を行っているが細菌培養のクリーンルームの設定に難渋しており研究の遅滞につながっている。 (Ⅲ) 新たな腸管シーリングシステムの開発:直腸吻合に用いる最適な新たなBowel sealing deviceの作製では、行事に必要な熱のコントロールの調整に時間を要している。出力時に100度以下を保つ調整と適切なコンプレッションが安定していない。
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今後の研究の推進方策 |
Ex vivoモデルを用いた腸管壁癒合に必要な条件の検証では、実臨床に必要な組織癒合の抗張力を高める介在物を検討、もしくはHybrid形式(組織融合+Staple)も検討中である。 銀イオン含有物質・水溶性抗生剤ゲルの開発と消化管吻合への効果の検証では、検査部に協力が得られており、感染モデルの作成を急ぐ。 溶系銀系抗菌剤の抗菌作用の検証を速やかに行う予定である。また水溶系銀系抗菌剤を含有したゲル剤の作成に取りかかり直腸内に充填する試作を行う。 マウス吻合モデルを応用し組織融合に重要なジュール熱のコントロールの出力調整が済み次第、吻合器の制作に進めていく予定である。
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