研究課題/領域番号 |
22K08815
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55020:消化器外科学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
宮澤 恒持 東北大学, 大学病院, 助教 (80757237)
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研究分担者 |
齋藤 昌利 東北大学, 医学系研究科, 教授 (00451584)
星合 哲郎 東北大学, 大学病院, 講師 (10569560)
戸子台 和哲 東北大学, 大学病院, 准教授 (50581641)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | ヒト羊膜 / 膵液漏 / 胆汁漏 / 創傷治癒 / 膵液瘻 |
研究開始時の研究の概要 |
肝胆膵領域手術において術後合併症は短期及び長期の予後に関わり、特に術後胆汁漏、膵液瘻は致死的となり得る重篤な合併症であり発生頻度も5-20%と高い。胎児由来組織であるヒト羊膜は、vascular endothelial growth factor (VEGF)等の各種のgrowth factorやサイトカインによる上皮化促進、抗炎症作用、感染抑制作用、及び十分な機械的強度を有しており創傷治癒促進効果が期待される。本研究では小動物胆汁漏・膵液瘻モデルを用いて、ヒト羊膜の胆汁漏、膵液瘻に対する治癒促進効果を明らかにし、致死的術後合併症による死亡率の低下に寄与する全く新しい「ヒト羊膜の創傷治癒促進作用に着目した胆汁漏・膵液瘻治療法」の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
肝胆膵手術の合併症として起きる胆汁漏、膵液漏は時に致命的な経過をたどる。しかし現状その治療法はドレナージによる保存的治療に限られる。羊膜細胞にはβ3defensinを分泌することによる抗菌作用、抗炎症性サイトカインの分泌による抗炎症作用、創傷治癒因子の分泌による創傷治癒効果があることが知られている。これらの作用により、羊膜は皮膚潰瘍や熱傷治療への利用が複数報告されており、眼科領域ではすでに臨床利用されている。本研究ではこれらの作用に着目し、羊膜を用いた膵液漏、胆汁漏の治療法の開発を目的とした。 膵液漏に関しては、SMV直上で膵実質ごとsplenic ductを切断するモデルを使用した。Splenic duct切断後にday1.3.5で腹水アミラーゼ、リパーゼを測定し、羊膜の有無で膵液漏の改善の有無を評価した。 SMV直上で膵実質を切断し、膵尾部、脾臓を切除する膵尾部切除モデル、膵尾部、脾臓を切除しないモデルを作成した。膵尾部切除モデルは、モデルとしては安定していたが、羊膜の有無で有意差が認められなかった。ファーター乳頭が開いていることもあり、羊膜の有無にかかわらず自然に瘻孔が閉鎖してしまう可能性を考え、膵実質切断後に膵尾部、脾臓を切除しないモデルを検討した。しかしこちらは個体差が大きくモデルとして不安定であった。 胆汁漏に関しては、総胆管をサーフローで穿刺する総胆管穿刺モデル、胆管の尾状葉枝を切断する尾状葉枝切断モデルを検討した。術後day1,3,5で腹水を採取し、T-bil濃度を測定した。両モデルともに腹水T-bilの濃度が安定しなかった。また、総胆管穿刺モデルではday3以降死亡してしまう症例も多かった。生存率でカプランマイヤ―曲線を引いて評価したが、こちらでも有意差は得られなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
既に報告されているラット膵臓のsplenic ductを切断するモデルを検討した。Splenic duct切断後に閉腹し、day1,3,5で腹水を採取し、腹水アミラーゼ、リパーゼを測定した。 SMV上で膵実質を切断することでsplenic ductを切断し、膵尾部、脾臓を切除する膵尾部切除モデルを作成した。Day1で腹水アミラーゼ、リパーゼが上昇し、day3,5で下落し、モデルとしては十分であった。膵断端に羊膜を被覆し、羊膜あり群、羊膜なし群で比較したが、有意差は得られなかった。羊膜と膵断端はしっかりと癒着していた。膵尾部切除モデルではファーター乳頭から膵液が消化管内に流れてしまうこともあり、膵断端からの膵液の流出が少なく、splenic ductが自然閉鎖してしまう可能性が考えられた。そこで、SMV上で膵実質を切断しsplenic ductを切断するのみで、膵尾部、脾臓を切除しないモデルを作成し、末梢側膵断端に羊膜を被覆することで羊膜の効果を評価することを検討した。しかし、このモデルから得られたデータは個体差が大きく、モデルとして不安定であった。 【胆汁漏】 胆汁漏に関しては、総胆管をサーフローで穿刺する総胆管穿刺モデル、胆管の尾状葉枝を切断する尾状葉枝切断モデルを検討した。術後day1,3,5で腹水を採取し、T-bil濃度を測定した。両モデルともに腹水T-bilの濃度が安定しなかった。また、総胆管穿刺モデルではday3以降死亡してしまう症例も多かった。総胆管穿刺モデルでは穿刺部を羊膜で被覆した群と、被覆しない群でカプランマイヤ―曲線による生存率での比較も行ったが有意差は認められなかった。
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今後の研究の推進方策 |
膵液漏に関しては、膵対尾部切除モデルで有意差は認められなかったが、膵断端と羊膜はしっかりと癒着していた。羊膜なし群では、膵断端に腸管、腸間膜、胃壁などが癒着していた。腹水アミラーゼ、リパーゼでは有意差は認められなかったが、膵断端に腸管や血管などが癒着することを防ぐことで、膵液漏後に起こる消化管穿孔や、動脈瘤の形成、破裂などの病態を防ぐことができる可能性はあると思われる。今後は羊膜と膵断端の接着部や、膵臓の周囲の腸管など表面の状態を病理学的に評価することで、羊膜の創傷治癒効果、膵液による周囲組織の影響などを評価していく予定である。
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