研究課題/領域番号 |
22K08817
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55020:消化器外科学関連
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
吉岡 政人 秋田大学, 医学系研究科, 教授 (40375275)
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研究分担者 |
吉岡 年明 秋田大学, 医学系研究科, 教授 (80302264)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | Reg3 / 膵増殖関連因子 / 急速肝再生 / 二段階 / ALPPS |
研究開始時の研究の概要 |
大量肝切除の際、術後の肝不全を防ぐため門脈塞栓術を行い、残存予定肝を増大させてから肝切除を行うが、肝増大待機中の腫瘍進展や増大不足によって手術に至らない症例も多い。これに代わる手技として急速肝増大を来すALPPS手術が期待されているが、急速増大のメカニズムは不明である。我々はALPPSにおいて、肝離断+門脈結紮後の第一段階増殖に膵増殖関連因子であるReg3が関与していることを見出した。ALPPSでは肝切除後の第二段階増殖があり、これに関与する因子はいまだ不明である。本研究は、肝細胞増殖におけるReg3の影響をより詳細に検討することと、他の増殖関連遺伝子の有無について検討するものである。
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研究実績の概要 |
我々はこれまで、ラットのALPPSモデルを用いた研究を行い、1期目の手術である門脈結紮と肝実質離断術後の急速肝増大には、膵増殖関連遺伝子であるregenerating islet-derived (Reg)3αとReg3βが関与している可能性が高いことを示し、さらにReg3遺伝子がJAK2/STAT3シグナルの活性化を促すことも示してきた。他の施設における研究では、2期目手術である肝切除後においても急速肝増大を来すことが報告されているが、これにはIL-6やTNF-αなどの炎症性インターロイキンが関与するとされている。我々は、ALPPS 2期目手術の肝切除後におけるReg3の関与について、Reg3遺伝子(mRNA)およびReg3蛋白(免疫組織染色)の動態について検討した。術後7日目のmRNA量は、Reg3α遺伝子はControlに比して1.78倍、Reg3β遺伝子は2.47倍と有意に増加していた。また、免疫組織染色によるReg3蛋白の発現に関しても、肝切除術後1日目が強染色された結果から、ALPPS 2期目手術である肝切除後にもReg3の増加を認め、2期目手術後の急速肝再生においてもReg3が関与していることが示唆された。 これまでの研究で、生体の肝組織においてReg3は細胞増殖に関与するJAK2/STAT3シグナルを活性化させることは示せたが、Reg3が直接JAK2/STAT3シグナルの上流に存在するのかどうかは解明できていない。すなわち、Reg3とJAK2/STAT3の間に他のシグナル遺伝子が存在しているのかはいまだ不明である。これらの関係を解明するため、培養肝細胞で直接検討する必要があると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Reg3遺伝子は正常肝細胞に発現している。培養した正常肝細胞のReg3をノックアウトした後、ノックアウト肝細胞に刺激を加えることで培養肝細胞におけるReg3とJAK2/STAT3シグナルの関係を直接検討できると考えた。そこで、培養肝細胞を用いたReg3ノックアウト肝細胞の作製を試みているが、うまく作製できておらず、in vitro研究の進捗がやや遅れている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、培養肝細胞を用いたReg3ノックアウト肝細胞作製を継続し、Reg3とJAK2/STAT3シグナルの関係解明を試みる。 2期目手術後の肝急速増殖にもReg3が関与することは示唆されたが、Reg3以外の関与も探索する必要がある。よってin vitro実験と共に、1期目手術後に増殖した生体肝組織と2期目手術後に増殖した生体肝組織間でマイクロアレイ実験を行い、2期目手術後に有意に発現の変化する因子を抽出する予定である。
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