研究課題/領域番号 |
22K08822
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55020:消化器外科学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
高橋 剛 大阪大学, 大学院医学系研究科, 講師 (50452389)
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研究分担者 |
黒川 幸典 大阪大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (10470197)
西田 俊朗 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 医薬基盤研究所 創薬デザイン研究センター, 客員研究員 (40263264)
田中 晃司 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (70621019)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | GIST / HSP90阻害剤 / pimitespib / 消化管間質腫瘍 / 分子標的治療 / Pimitespib / Heat shock protein 90 / 血管新生阻害 / HSP90 inhibitor / TKI |
研究開始時の研究の概要 |
消化管間葉系肉腫(GIST)に対してKITタンパク質をターゲットとした分子標的治療薬は無増悪生存率は劇的に延長したものの、治療の過程で二次遺伝子変異により、分子標的治療薬に対する耐性を獲得することが課題となっている。本研究では、イマチニブ耐性GISTに対するチロシンキナ-ゼ阻害剤に加え新規HSP90阻害剤の併用効果の有効性やそのメカニズムを明らかにすることを目的としている。腫瘍増殖シグナルへの影響や抑制効果、またその相乗効果のメカニズムについて検討を行う。さらに、動物実験を用いて実臨床に向けての安全性を含めた有効性の検討を行う。
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研究実績の概要 |
再発消化管間葉系肉腫(GIST)に対して新規Heat Shock Protein 90阻害剤であるPimitespib (PIMI)と既存のチロシンキナ-ゼ阻害剤との併用効果による治療効果の上昇の可能性を明らかにすることを目的とした研究である。 令和4年度には、in vitro下にKITの生成、翻訳後修飾過程のどの局面においてHSP90が働いているか、またPIMIの働きについて検討を行った。その結果、細胞内蛍光免疫染色検査の結果、糖鎖切断の検討からトランスゴルジ体でのKITの低下を生じていることを確認した。また、マルチキナーゼ阻害剤であるスニチニブとの併用により、スニチニブ感受性株では相乗効果、スニチニブ不応株では相加効果を示すことを確認した。 こういった進捗を基に令和5年度では、動物腫瘍移植モデルマウスについては、当初令和6年度の確立の予定であったが、研究の進行のため、GIST細胞株を皮下に移植し、その生着を確認し薬剤の投与実験を実施した。併用療法を実施したマウスの体重減少ではその他の群と差がなく安全性の確認を行いえた。さらに併用療法群で有意な腫瘍増殖抑制効果を確認し、有効な治療法であることが示唆された。さらに、in vivoモデルにおいては、イマチニブ耐性株やイマチニブ感受性株など様々な細胞株を用いて同様の結果を確認した。さらに、KITの発現抑制やその下流のシグナル伝達系の抑制を確認した。さらに、KITの下流シグナルのみならず、血管新生に関連する分子シグナルの変化を発見し、令和6年度の研究にひきつづき研究を継続し明らかにする予定である。 それぞれの進行においては、当初の研究計画に従って実験を遂行することができ、また予定以上の進行であると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和5年度は、動物腫瘍移植モデルマウスについては、当初令和6年度の確立の予定であったが、研究の進行のため、GIST細胞株を皮下に移植し、その生着を確認し薬剤の投与実験を実施した。併用療法を実施したマウスの体重減少ではその他の群と差がなく安全性の確認を行いえた。さらに併用療法群で有意な腫瘍増殖抑制効果を確認し、有効な治療法であることが示唆された。さらに、in vivoモデルにおいては、イマチニブ耐性株やイマチニブ感受性株など様々な細胞株を用いて同様の結果を確認した。さらに、KITの発現抑制やその下流のシグナル伝達系の抑制を確認した。さらに、KITの下流シグナルのみならず、血管新生に関連する分子シグナルの変化を発見し、令和6年度の研究にひきつづき研究を継続し明らかにする予定である。 それぞれの進行においては、当初の研究計画に従って実験を遂行することができ、また予定以上の進行であると考える。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は、これまでの成果として、PIMIのtrans-ゴルジKITに対する効果を確認したがKITのゴルジ活性化の詳細メカニズムは不明であり、ゴルジ活性化に関する新しい知見について本薬剤との関連で明らかにする予定である。 また、HSP90のクライアント分子は、KIT以外にも多く存在することが知られている。GISTにおいて有効な薬剤とされるスニチニブは、マルチキナーゼ阻害剤であり、KIT以外にもVEGFRを介する血管新生阻害の効果による抗腫瘍効果の報告が数多く存在し、GISTの抑制メカニズムとして働くことが報告されている。PIMIの作用効果として、HIF-1やPKD2といったVEGFの発現制御に関連する分子もあり、血管新生によるGISTの増殖抑制効果についても今後明らかにしていく方針である。われわれのプレリミナリーな結果においても、VEGFの阻害効果を確認しておりその下流のシグナルがどのように動くか、またスニチニブによるVEGFR阻害効果と合わさることによってさらなる強い抗腫瘍効果を得られるか検討したいと考える。 さらに、最後に本薬剤の治療効果がGIST特有の治療なのか、それ以外の癌腫への応用の可能性についても探索する見込みで、細胞株の準備中である。
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