研究課題
基盤研究(C)
肝内胆管癌は切除以外の抜本的な治療法が少なく、悪性度が高く、肝内胆管癌に高い抗腫瘍効果を示す薬剤が求められている。本研究では肝内胆管癌において症例間だけでなく腫瘍内にも普遍的に存在するドライバー遺伝子を多層オミックス解析(ゲノム/転写産物/タンパク/代謝産物)にて同定し、分子標的薬剤を同定する。我々の所有する肝内胆管癌原発巣マルチサンプリングデータと研究協力者である九州工業大学 山西芳裕教授の所有する1000種類にも及ぶリポジショニング薬の癌株化細胞への投薬に伴う発現プロファイルデータを機械学習のアプローチにて比較検討し、最も高い抗腫瘍効果を示す化合物を同定し、作用機序を明らかとする。
複数症例に共通するドライバー変異として腫瘍抑制遺伝子BAP1に着目し、BAP1変異症例の遺伝子発現プロファイルに基づきロットレリンを候補化合物として同定した。BAP1ノックダウンを施したICC細胞株にロットレリンを投与したところ、FOXK1のmRNA発現が抑制された。ロットレリン投与により代謝、細胞周期、増殖能に関わる遺伝子の発現が変化した。細胞周期アッセイでは、ロットレリンは細胞周期進行を抑制し、BAP1ノックダウンは促進した。RNAシークエンス解析により、ロットレリンは細胞周期関連遺伝子およびSLCトランスポーター関連遺伝子の発現を変化させることが明らかとなった。
本研究は、極めて予後不良な肝内胆管癌において、腫瘍抑制遺伝子BAP1変異に着目し、その分子病態を多層的に解析するとともに、ドラッグ・リポジショニングによりロットレリンを有望な治療薬候補として同定した。BAP1変異による細胞周期異常の分子機構を明らかにし、治療標的としての妥当性を実証した点は、肝内胆管癌の個別化医療に資する重要な学術的成果である。加えて、既存薬の再活用は新薬開発の時間とコストを大幅に削減し、難治がん治療の選択肢を広げ、医療経済にも貢献する社会的意義を有する。
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