研究課題/領域番号 |
22K08832
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55020:消化器外科学関連
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
小菅 敏幸 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (00457946)
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研究分担者 |
大辻 英吾 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20244600)
塩崎 敦 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40568086)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 胃癌 / SLCO2A1 / 調節性容積減少 / 腹腔内化学療法 / 腹膜播種 |
研究開始時の研究の概要 |
我々はこれまで、胃癌細胞株において、低浸透圧刺激時にクロライドイオン(Cl-)輸送阻害薬を使用すると、調節性容積減少(RVD)の抑制とともに細胞内パクリタキセル(PTX)取り込みが増強されることを明らかにした。近年、RVD過程のCl-排出を担うマキシ・アニオンチャネル(Maxi-Cl)のコア分子としてSLCO2A1が同定された。本研究では“胃癌細胞のSLCO2A1発現を制御すると、低浸透圧刺激時の細胞内PTX取り込みが促進される”という実験仮説の検証を行う。
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研究実績の概要 |
免疫組織染色によりヒト胃癌組織におけるSLCO2A1蛋白発現を確認することができた。一方、ヒト食道扁平上皮癌組織ではSLCO2A1蛋白発現を確認することはできなかった。ヒト胃癌細胞株におけるSLCO2A1発現をウエスタンブロット法で確認したところ、MKN7、MKN45、MKN74、NUGC4、HGC27細胞株におけるSLCO2A1蛋白発現を認めた。同様にヒト食道扁平上皮癌細胞株(TE8、KYSE70、KYSE790など)においてもSLCO2A1発現が確認できた。SLCO2A1高発現胃癌細胞株(MKN7、MKN45)にSLCO2A1-siRNAをトランスフェクションし、SLCO2A1発現を制御して機能解析を行ったところ、細胞増殖能の低下、細胞周期の停止、アポトーシスの増強を認めた。SLCO2A1高発現株であるMKN45において、低浸透圧刺激時の調節性容積減少(RVD)を含む経時的細胞容積変化を確認した。また、MKN45において低浸透圧刺激によりパクリタキセル(PTX)の細胞内取り込みが亢進すること、Cl-輸送阻害薬であるNPPBを使用するとRVD抑制とともに細胞内PTX取り込みが増強されることを確認した。一方、SLCO2A1発現株であるMKN74、NUGC4において、非浸透圧刺激時ではあるものの、NPPB使用により細胞内PTX取り込みが増強されることを確認した。SLCO2A1高発現株であるMKN45において、Maxi-Cl阻害薬であるGd3+を用いて低浸透圧刺激時の細胞容積変化を解析したが、Gd3+併用によるRVD抑制効果は確認できなかった。昨年に引き続き、現在はSLCO2A1発現を調節した際の低浸透圧刺激下での細胞内PTX取り込み・細胞容積変化・殺細胞効果に対する反応性の解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒト胃癌組織・細胞株におけるSLCO2A1発現の確認とSLCO2A1発現レベル調節に基づく細胞機能解析が進んでいる。低浸透圧刺激による細胞容積変化やPTX取り込みの変化の解析も行っている。現在は、SLCO2A1発現を調節した際の低浸透圧刺激下での細胞内PTX取り込み・細胞容積変化・殺細胞効果に対する反応性の解析を進めている。研究計画は順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
ヒト胃癌組織・細胞株におけるSLCO2A1発現を確認できているため、当初の研究計画に従い実験を進めていく。SLCO2A1発現レベル調節に基づく細胞機能解析も順調に進んでおり、今後はSLCO2A1発現を制御した際の遺伝子発現変化の網羅的解析を進め、特記すべき重要な遺伝子変化やpathwayについては適宜validationを行っていく。また、SLCO2A1発現を調節した際の低浸透圧刺激下での細胞内PTX取り込み・細胞容積変化・殺細胞効果に対する反応性についての解析も進めていく。
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