研究課題/領域番号 |
22K08850
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55020:消化器外科学関連
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
恒富 亮一 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (10420514)
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研究分担者 |
永野 浩昭 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (10294050)
松隈 聰 山口大学, 医学部, 特別医学研究員 (10634743)
前田 訓子 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (10738876)
西山 光郎 山口大学, 医学部附属病院, 診療助教(4日/週) (50714614)
新藤 芳太郎 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (70749811)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 癌 |
研究開始時の研究の概要 |
次世代シーケンサーやマイクロアレイ、質量分析解析から、肝癌CSLCにおける発現プロファイル、さらに臨床サンプルとの統合解析から、肝癌CSLC特異的遺伝子を得ており、この内の細胞外への小胞放出に関わるRAB3BはCSLCにて発現亢進が見られるだけでなく、血行性転移再発肝細胞癌症例でも発現亢進が見られ、RAB3B発現の減弱化により、浮遊Sphere細胞の形成不全、CSLCにて獲得した肝転移能、抗癌剤耐性や免疫逃避能の減弱を示す結果を得ている。本研究では、RAB3Bを中心にCSLCから周囲の癌細胞や免疫細胞へのシグナルを明らかとすることで、転移性CSCに対する治療コンセプトを確立する。
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研究実績の概要 |
肝細胞癌 (HCC) は術後の再発率が高いために予後不良であり、新たな治療法の開発が求められている。再発の予防は、患者QOLを改善するだけでなく、生存期間の延長も期待される。本研究は、予後不良なHCCを対象として、転移の原因となる癌幹細胞 (CSC) を解析し、肝内転移による術後再発の抑制に結びつける。我々は、CSCとしての顕著な表現型 (高い転移能及び抗癌剤耐性、加えて免疫監視逃避能) を示す癌幹細胞様浮遊細胞塊 (Cancer stem-like sphere cells, CSLCs) を独自誘導し、分泌に関わるRAB3B等の特異的遺伝子を同定しており、本研究により術後肝内転移抑制のコンセプトを確立する。特にCSLCによる細胞間コミュニケーションを明らかとする。癌免疫療法や抗体・核酸医薬を臨床応用とし、コンパニオン診断薬と一体的に開発を行うことで、患者層別化による奏効率及び医療経済性の向上が見込まれる。 これまでの解析から、肝癌CSLCを肝癌細胞株SKHEP1およびHLEより誘導し、それぞれNK細胞からの免疫逃避能を有することを明らかとした。両CSLCに共通してエクソソーム分泌の亢進が寄与していると示唆された。また、SKHEP1からのCSLCにおいてはRAB3Bがエクソソーム放出に重要であることを明らかとし、興味深いことに胃癌や食道癌細胞から誘導した抗癌剤耐性能亢進を示すCSLCにおいてもRAB3BやRAB4Bの発現亢進を認めた。さらに、胆道がん細胞株から樹立した抗癌剤ゲムシタビン耐性株からエクソソームを調製し、ゲムシタビン感受性株に添加したところ、ゲムシタビン耐性を獲得することも明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CSLCにおけるRAB遺伝子とエクソソームによるがん幹細胞表現型 (抗癌剤耐性や免疫逃避) の獲得は、肝癌だけでなく胃癌、食道癌、胆道癌といった他の癌腫でも共通である可能性が示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
CSLCからのエクソソームを調製し、内包される分子の同定を進める。また、CSLCエクソソームによって影響を受ける遺伝子群の同定を併せて行う。
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