研究課題/領域番号 |
22K08856
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55020:消化器外科学関連
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
伊藤 義也 北里大学, 医学部, 准教授 (40203187)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | SOS / 類洞内皮 / 肝 / 内皮 / 再生 |
研究開始時の研究の概要 |
肝類洞閉塞症候群(Sinusoidal Obstruction Syndrome: SOS)はオキサリプラチンを含む化学療法や造血幹細胞移植後などで惹起される重症肝障害である。その病態は肝類洞内皮細胞障害とされるが、障害を受けた類洞内皮細胞の再生とその制御機構については未解明である。最近、肝切除後肝再生における肝血管新生に血管新生因子アンジオポエチン(Angiopoietin-2; Ang-2)が関与することが報告された。そこで本研究では、SOSにおいて損傷された肝類洞内皮細胞の再生過程と、類洞内皮細胞再生の制御機構にAng-2が関与するかどうかを明らかにする。
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研究実績の概要 |
肝類洞閉塞症候群(SOS)は造血幹細胞移植、放射線治療、大腸癌化学療法などの治療中におきる比較的まれな疾患であるが、重症化すると患者予後を不良にする。SOSは肝類洞内皮細胞(Liver sinusoidal endothelial cell, LSEC)が障害の標的となり、その結果肝障害が進展するが、その制御機構については不明な点が多い。さらに障害されたLSECの再生については解明されていない。そこで本研究では、SOSモデルを作成し、傷害を受けたLSECの再生過程とそのメカニズムを解明することを目的とした。雄性C57/BL6マウスにモノクロタリン(monocrotaline, MCT)を600mg/kg 腹腔内単回投与してSOSモデルを作成した。経時的に肝臓を採取して遺伝子・蛋白発現を解析しLSECの傷害と再生過程を調べた。MCT投与によりALT値は48時間後にピークとなり、以後漸減し120時間後にはほぼ正常に回復した。組織学的には肝小葉中心域に出血壊死が肝障害ピーク時にみられ、それ以後では壊死が消褪していき修復期にはいった。LSEC傷害と再生についてLSECマーカーLYVE-1発現を解析すると、傷害期で一時的に減少したが、修復期には増加した。また修復期のLYVE-1発現は正常肝では発現しない中心静脈周囲LSECにも発現した。骨髄キメラマウスにMCTを投与し、修復期の病変部位を調べても骨髄由来細胞は傷害部位において再生されてきたLSECには存在しなかった。さらにLSEC再生因子としてAngiopoietin-2と受容体Tie2の発現が修復期で増加した。またTie2は再生LSECに発現した。MCT誘導肝障害において、傷害されたLSECの再生にはAngiopoietin-2/Tie2が関与する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究が、当初に立案した実験計画に沿って、ほぼ順調に遂行されている。マウスSOSモデルを用いて、MCT投与により障害された肝類洞内皮細胞は再生することを示すことができた。また、類洞内皮再生にはAngiopoietin-2/Tie2が関与する可能性を示すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
当初の実験計画に沿って、本研究を進めていく。Angiopoietin-2/Tie2が肝類洞内皮細胞再生に関与する可能性を細胞培養の観点から検討する予定である。
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