研究課題/領域番号 |
22K08869
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55020:消化器外科学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
江口 聡 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (00912007)
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研究分担者 |
山田 大作 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (60571396)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 肝内胆管癌 / IL-33 / 腫瘍周囲環境 / 癌関連線維芽細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
肝内胆管癌は肝臓に発症する癌の一つであり,手術による切除は最も効果の高い治療であるが,その再発率は70%と高く,予後不良の癌である.先行研究で,肝切除時に放出されるIL-33が肝内胆管癌の再発に関与していることを示したが,胆管癌細胞への直接作用は乏しく,そのメカニズムは不明である.我々は肝切除時に放出されるIL-33が腫瘍周囲環境に何らかの影響を及ぼし,癌の再発に関与しているのではないかと仮説を立てた.本研究では,肝切除時に行える治療介入を検討し,肝切除時に放出されるIL-33と腫瘍周囲環境への影響,および再発における役割を調べることを目的としている.
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研究実績の概要 |
先行研究と前年度までの実験にて,肝切除により残肝にIL-33陽性細胞が増加し,切除検体中のIL-33とCAFが高発現である群は有意に肝再発率が上昇することが分かった.また,肝内胆管癌細胞株にCAFの培養上清を添加すること(IL-33なし上清添加群)で細胞の増殖能と遊走能は亢進し,CAFをIL-33処理下で培養した際の培養上清を添加(IL-33あり上清添加群)すると,さらに亢進することが分かった. この結果より,IL-33高発現症例においてはCAFから細胞増殖を促進する物質の分泌が増加している可能性が考えられたため,肝内胆管癌切除検体をNGS解析した.IL-33高発現症例では種々の炎症サイトカインとそのレセプター発現が亢進していることがわかり,その中でも肝内胆管癌の発育を助長することで広く知られているIL-6に着目した. 続いて,細胞実験にて上述のIL-33あり上清添加群に抗IL-6抗体を投与することで,IL-33により亢進した増殖能と遊走能が低下した. さらに,C57BL/6マウスにC57BL/6マウス由来胆管癌細胞株(miCCA)を皮下移植する実験にて,肝切マウス(高IL-33マウス)と開腹マウス(低IL-33マウス)をそれぞれ,miCCAを単独移植する群(単移植群),miCCAとマウス由来CAFを共移植する群(共移植群),共移植群を抗IL-6抗体で治療する群(治療群)に分け,計6群における皮下腫瘍の形成を比較したところ,肝切マウスは開腹マウスと比較して有意に腫瘍サイズは大きく,共移植群は単移植群より有意に腫瘍サイズは大きかった.また,治療群では共移植群より腫瘍サイズは小さくなる傾向を認めた. これらの結果より,肝切除により増加したIL-33がCAFからのIL-6分泌を増加させることで再発を助長させたのではないかと考えられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初は動物実験としてC57BL/6マウスにC57BL/6マウス由来胆管癌細胞株を同種同所性移植する実験から開始することを予定していたが,細胞株の移植後に安定した腫瘍の形成が得られなかったため,実験計画の変更を要した.しかし,臨床検体を用いた実験から開始したことで,IL-33とCAFがともに高発現していることが予後不良につながり,さらに細胞実験にて,IL-33がCAFからの腫瘍増殖促進因子の分泌を亢進させていることが分かった.この腫瘍増殖促進因子はNGSの結果からIL-6が関与している可能性が示唆され,抗IL-6抗体による治療により細胞実験では腫瘍増殖が低下し,動物実験でも皮下腫瘍の形成能が低下し,矛盾なき結果が得られた. この進捗により「肝切除時に放出されるIL-33と腫瘍周囲環境への影響,および再発における役割を調べること」という研究目的は概ね達成され,当初の研究以上に進展していると言える.
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今後の研究の推進方策 |
これらの内容を論文にまとめて発表する. その中で追加の実験が必要となった場合は適宜追加実験を行う.
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