研究課題/領域番号 |
22K08877
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55020:消化器外科学関連
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
小松 周平 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任准教授 (40578978)
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研究分担者 |
大辻 英吾 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20244600)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | microRNA / リキッドバイオプシー / 免疫チェックポイント阻害剤 / エキソソーム / バイオマーカー / 抗がん核酸治療 / 抗癌核酸治療 |
研究開始時の研究の概要 |
miRNAは細胞間の情報伝達のため、特殊な蛋白やベジクルに守られ血中で安定した状態で存在している。われわれは、この分野でこれまで抗がん剤耐性や感受性の予測可能な血中miRNAバイオマーカーの同定が可能であった。免疫チェックポイント阻害剤である抗PD-1抗体の治療効果を鋭敏に予測する血中miRNAバイオマーカーが同定可能と考えている。さらに、血中で濃度低下しているPD-1/PD-L1を標的にする癌抑制型miRNA候補を診断に用いたり、血中濃度を回復させ維持したりすることで、新たな抗腫瘍効果、免疫チェックポイント阻害を目的とした、新たな抗がん核酸療法の実現が可能と考えている。
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研究実績の概要 |
食道扁平上皮癌は集学的治療の進歩にもかかわらず、依然予後不良な疾患である。近年、がん免疫療法の一つである、PD-1/PD-L1やCTLA-4等の免疫チェックポイント分子を標的とした薬剤の効果が多くの癌種で証明され、食道癌でも有効性が明らかになっている。しかし、有効性を鋭敏に予測するバイオマーカーは未だ存在しない。申請者らは、2008年にmicroRNA(miRNA)が血中で極めて高い安定性を獲得してリボヌクレアーゼ活性から守られた状態であることを知り、この分野での臨床応用を目指してきた。様々な消化器癌の超早期診断、悪性度・予後予測、治療モニタリング、抗がん剤耐性・感受性予測を可能とする、次世代の血中miRバイオマーカーを20種類以上同定し、その有用性を世界に先駆けて報告してきた(Br J Cancer 2010-15, Gastroenterology 2012, Mol Cancer 2019, Scintific Reports 2017, 2020他)。今回、これまでの研究手法を基盤に、抗PD-1抗体の治療効果を鋭敏に予測する血中miRNAバイオマーカーを同定する。また、新たな抗がん核酸療法として、体液を介した強力な抗腫瘍効果の実現を可能とする、分泌型癌抑制型miRNAを用いたPD-1/PD-L1を標的とする免疫チェックポイント分子阻害薬の開発を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度までの解析で、PD-L1発現亢進し腫瘍免疫応答が抑制されている可能性があると仮説をたてTargetScan、miRTarBase、 miRDB等を用いて、PD-L1をターゲットとするmiRNAを網羅的網羅的に選出した。選出した候補miR-A、B、C、Xに対してTest-scale解析で食道癌、健常人での血中濃度を調べたところ、miR-Xの血中濃度が有意に低下していることが明らかとなった。すなわち、miR-Xの正常細胞からの分泌低下によりPD-L1発現亢進が起きている可能性がある。miR-XをPD-L1高発現株に導入するとPD-L1蛋白発現は抑制された。今年度に行ったIn vitro解析では、食道癌細胞株にmimic miRNAを導入して解析したとろ、ネガティブコントロール(NC)群、miR-X投与群を比較したところ、miR-X投与群でPD-L1の発現が抑制された。PD-L1発現を誘導するIFN-γ投与下でもmiR-X投与群では、PD-L1の発現が抑制された。次に、CD3/CD28抗原ビーズでT細胞を活性化し、食道癌細胞株と共培養した。miR-X投与下でT細胞と共培養した群では、NC投与下で共培養した群と比較し、有意に食道癌細胞株の増殖能は低下し、腫瘍免疫改善を認めた。その他の解析も行った。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、in vivoでSCID beigeマウスによる皮下腫瘍モデルを作成し、miR-Xによる腫瘍免疫抑制応答を解除と腫瘍免疫改善効果を検討する。具体的には、食道癌細胞株で皮下腫瘍を作成し、ControlもしくはmiR-X、PBSもしくは活性化T細胞を腫瘍自体に投与し、計4群で腫瘍サイズを比較する。miR-X投与かつ活性化T細胞投与群が、腫瘍サイズが縮小することを確認する。また皮下腫瘍を免疫染色し,miR-X群でPD-L1の発現が低下し,T細胞浸潤数増加していることを確認する。
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