研究課題/領域番号 |
22K08880
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55020:消化器外科学関連
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
高村 博之 金沢医科大学, 医学部, 教授 (40377396)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | Sphingomyelin synthase 2 / Veno-occlusive dosease / Colorectal cancer / Liver metastasis / Lung metastasis / Monocrotaline / SMS2 inhibitor / liver surgery |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,マウス NAFLD モデル,大腸癌肝転移モデル,薬剤誘発性肝 SOS モデルを用いて,細胞形質膜の主成分のスフィンゴミエリン (SM) を合成する酵素である SMS2 の遺伝子をノックアウトすることにより,NAFLD の低減やインスリン抵抗性の改善,肝発癌の抑制や大腸癌肝転移の抑制,薬剤誘発性肝 SOS の軽減につながるかどうかを検証するとともに,新規選択的 SMS2 阻害薬でも同様の効果が認められることを明らかにし,臨床応用へと繋げることを目指す.
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研究実績の概要 |
本研究では,スフィンゴミエリン (SM) をセラミドから合成するための酵素である Sphingomyelin synthase 2 (SMS2) の遺伝子をモデルマウスでノックアウト (SMS2-KO) することにより,薬剤(モノクロタリン:MCT)誘発性肝・肺 VOD が軽減されるかどうかを検証した.同時に,薬剤(MCT)誘発性の肝・肺の VOD モデルマウスを用いて,VOD の病態が,大腸がん細胞株の肝・肺転移を促進するかどうかを検証した.さらに新規選択的SMS2 阻害薬でも同様の効果が認められることを明らかにし,臨床応用へと繋げられる基礎的研究成果をあげることを目的として実施している.これまでのところ選択的 SMS2 阻害薬の譲渡契約に至っていないため,SMS2-KO マウスと SMS2-KO がん細胞株を樹立して研究を行ってきた.これまでの研究成果は以下の通りである. 研究1. C57BL/6 マウスを用いて,薬剤(MCT)誘発性の肝・肺の VOD が,SMS-KO で軽減されるかどうかを検証した.SMS2-KO で肝・肺の VOD が抑制されることを明らかにした. 研究2. C57BL/6マウスを用いて,薬剤(MCT)誘発性の肝・肺の VOD が,同系マウス由来の大腸がん細胞(MC38)の肝転移と肺転移を促進するかどうかを検証した.肝と肺の VOD により,MC38 の脾注による肝転移と尾静脈注による肺転移が促進されることを明らかにした. 研究3. C57BL/6マウスを用いて,MC38 の脾注による肝転移と尾静脈注による肺転移が,MC38 の SMS2-KO によって抑制されるかどうかを検証した.MC38 の SMS2-KO により,肝転移と肺転移が抑制されることを明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
国内で開発された選択的 SMS2 阻害薬が特許等の問題で譲渡契約に至っておらず,また外国で開発されたものは購入費があまりに高額なため入手困難な状況にあり,選択的 SMS2 阻害薬の研究を実施できずにいる.そのため,SMS2 ノックアウトマウスと SMS2 をノックアウトした細胞株を用いた研究を行っている.
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今後の研究の推進方策 |
C57BL/6マウスを用いた研究で,薬剤(MCT)誘発性の肝・肺の静脈閉塞症候(VOD)が,SMS2-KO で抑制されることを明らかにし,また,C57BL/6マウスを用いて,薬剤(MCT)誘発性の肝・肺の VOD が同系マウス由来の大腸がん細胞(MC38)の肝転移と肺転移を促進することを明らかにした.さらに,C57BL/6マウスを用いた研究で,MC38 そのものの SMS2 をノックアウトすることにより,脾注による肝転移と尾静脈注による肺転移が抑制されることを明らかにした.今後は,学内の SMS2 研究の第一人者の力を借りながら,これらの分子メカニズムの解明を行う予定である. 同時に,国内の製薬会社や大学研究者が選択的 SMS2 阻害薬を開発しているので,いずれかの組織と選択的 SMS2 阻害薬の譲渡契約を結ぶべく,今後も努力を継続していく予定である.
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