研究課題/領域番号 |
22K08886
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55020:消化器外科学関連
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
久保田 隼介 弘前大学, 医学研究科, 助手 (10862021)
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研究分担者 |
袴田 健一 弘前大学, 医学研究科, 教授 (30271802)
三浦 卓也 弘前大学, 医学部附属病院, 講師 (30722136)
吉澤 忠司 弘前大学, 医学研究科, 助教 (70761071)
諸橋 聡子 弘前大学, 医学研究科, 客員研究員 (90569592)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 直腸癌 / 術前治療 / 壁外病変 / プロテオーム解析 / 組織透明化法 |
研究開始時の研究の概要 |
局所進行直腸癌に対する標準治療は、術前治療後の手術治療である。直腸癌の予後不良因子として知られる壁外病変が術前治療後に残存する症例では、完全切除を達成しても術後再発率は高い。本研究は、壁外病変を有する術前治療抵抗性直腸癌に特有の悪性因子を解明することを目的とする。組織透明化法による3次元病理組織学的手法と、プロテオーム解析による分子学的手法を組み合わせた、統合的な解析を行う。同定した特異的因子と癌悪性度の関連を、培養細胞を用いた発現調節実験で検証する。治療標的となり得る因子を発見し、新規治療開発への発展を目指す。
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研究実績の概要 |
2015年から2021年の期間に、当施設において、術前化学療法(NAC)としてS-1+Oxaliplatin療法を施行した下部直腸癌症例のうち、治療前後にMRI画像で壁外病変の評価を行った52症例を対象とした。術前化学療法後の壁外病変残存の有無によって、NAC-effective群とNAC-resistant群に分類した。NAC-effective群3例とNAC-resistant群6例を選択し、液体クロマトグラフィー法によりタンパク質の抽出および同定を行った。同定されたタンパク質は約1300種類であった。その後、判別分析を行い、二群の判別に貢献度の高い207種類のタンパク質を選択した。これらを対象に、KEGG pathway database を基にパスウェイ解析を行なった。TCA cycle、Carbon metabolism、Focal adhesion等の生物学的経路が二群間で変動していることが明らかになった。文献的考察の結果、含硫アミノ酸(Sulfur-containing amino acid)であるメチオニン、システインの代謝異常が悪性腫瘍の発生に関連していることが報告されていた。よって、悪性腫瘍との関連が示唆される生物学的経路Sulfur metabolismに着目した。今回同定したタンパク質のうち、SELENBP1、ETHE1、SQOR、THTR、MPSTの5タンパク質が同経路に属していた。今後はこれらのタンパク質を対象としてさらなる研究を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
液体クロマトグラフィー法により、パスウェイ解析を行うのに妥当な数のタンパク質を同定することができた。パスウェイ解析の結果、細胞のエネルギー代謝に関連する生物学的経路を中心として、悪性腫瘍との関連が示唆される経路をも同定することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今回同定したタンパク質のうち、Sulfur metabolismに属するSELENBP1、ETHE1、SQOR、THTR、MPSTの5タンパク質の機能や、悪性腫瘍との関連について、文献的考察を行う。そして、既存の標本や培養細胞を用いた検証実験を計画する。組織透明化法を用いた、タンパク質発現の三次元的解析を行う。
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