研究課題/領域番号 |
22K08896
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55020:消化器外科学関連
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
西間木 淳 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (50867497)
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研究分担者 |
杉本 幸太郎 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (40791009)
小船戸 康英 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (70583425)
石亀 輝英 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (50583358)
丸橋 繁 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (20362725)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 肝癌 / 膵癌 / LRH1 / 異常リン酸化 / 核内受容体 |
研究開始時の研究の概要 |
申請者らは新規のAKT依存性核内受容体セリン・リン酸化機構を解明し,子宮体癌と乳癌の悪性形質を増強することを解明した.このリン酸化標的セリンは膵癌や肝癌で異常発現し,癌の発生や進展に寄与する肝受容体ホモログ-1(LRH1)でも保存されていることが解った.本研究では異常リン酸化体pS510-LRH1に対する特異的モノクローナル抗体を独自に開発し,手術検体を用いて膵癌と肝癌におけるpS510-LRH1発現の臨床病理学的意義を解明すると共に,培養細胞を用いてpS510-LRH1によるがん悪性形質制御機構を解明してこれを標的とする新規診断治療法の開発を目指す.
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研究実績の概要 |
膵癌と肝癌は悪性腫瘍の中でも特に予後不良で、新規治療法や予後不良例を抽出するバイオマーカーの開発が嘱望されている。我々は新規のAKT依存性核内受容体セリン・リン酸化機構を解明し、これが子宮体癌と乳癌の悪性形質を増強することを明らかにした。このリン酸化標的セリンは膵癌や肝癌で異常発現し、これらの発生や進展に寄与する肝受容体ホモログ-1 (LRH1)でも保存されていることが解った。 そこで我々はLRH1の異常リン酸化体pS510-LRH1が新規診断マーカーおよび治療標的として有望ではないかと考え、これを特異的に認識するモノクローナル抗体を独自に開発した。まずこの抗体を用いて肝癌手術材料を染色し、pS510-LRH1高シグナルが肝細胞癌の予後不良因子であることを解明した。 続いて膵癌と肺癌におけるpS510-LRH1高シグナルの臨床病理学的意義を解析中である。 一方、培養細胞系を用いてpS510-LRH1によるがん悪性形質制御機構を解明すべく、培養癌細胞株においてLRH1の遺伝子ノックアウトおよび過剰発現、アミノ酸置換体によるリン酸化不応体および常時リン酸化模倣体のレスキュー導入株を樹立し、それらの細胞株について増殖、遊走、浸潤、および薬剤耐性などのがん悪性形質やトランスクリプトームを比較解析している。将来的にはpS510-LRH1を標的とする新規診断治療法の開発を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
まずpS510-LRH1に対する特異抗体を開発した。続いて肝細胞癌手術症例を免疫染色して同シグナル強度を半定量化して臨床情報と比較解析し、pS510-LRH1高シグナルが肝細胞癌の予後不良因子であることを明らかにして原著論文として報告した(Nishimati et al., Clin Exp Med, 2023)。続いて膵癌および肺癌の手術症例について同様に解析し、いずれもpS510-LRH1高シグナルが予後不良因子である結果を得ており、それぞれ原著論文を投稿中および投稿準備中である。 細胞株を用いたメカニズムの検討では、肝細胞癌、浸潤性膵管癌、肺腺癌、および肺扁平上皮癌それぞれ3〜7株についてLRH1の発現量を定量化した。比較的高発現の細胞株についてはCRISPR法によるLRH1の遺伝子ノックアウト細胞株を樹立した。ノックアウト細胞株およびLRH1低発現株を親株として、野生型LRHの過剰発現、アミノ酸置換体によるリン酸化不応体および常時リン酸化模倣体のレスキュー導入株を順次樹立しているところである。
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今後の研究の推進方策 |
LRH1のノックアウト細胞株や過剰発現株などについて、細胞増殖(BrdU取込みおよびMTSアッセイなど)、細胞遊走(スクラッチアッセイおよびダブルチャンバー培養系)、浸潤(マトリゲル包埋ダブルチャンバー培養系)、抗がん剤耐性(抗腫瘍薬添加)、および免疫不全マウスを用いた担がんモデルによって悪性形質を評価する。またシグナル経路や標的遺伝子の同定など分子メカニズムを解明するためにRNAシークエンスでトランスクリプトーム解析を実施する。以上によってpS510-LRH1によるがん悪性形質制御機構の全容を解明する。
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