研究課題/領域番号 |
22K08898
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55020:消化器外科学関連
|
研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
宮尾 晋太朗 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (00833708)
|
研究分担者 |
巽 孝成 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (70896711)
辻本 成範 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (80896712)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | FFPE / RNA-seq / DRaqL / single cell RNA sequence |
研究開始時の研究の概要 |
がん研究はSingle cell RNA sequenceの魅力的な分野の一つであり, 予後向上や予後予測, 正確な標的治療が可能と考えられている. ホルマリン固定は世界中で使用されている組織固定法であるが, 固定標本から高品質のRNAを抽出することは困難で, 微量標本に対する解析の大きな障害である. これを克服することで, 世界中で保管された組織から遡及的研究が可能となり, 真の個別化医療への道が拓けると考えた. 今回従来のSC3-seq法を改変し, FFPE標本から次世代シークエンサー解析の為のLibraryが作成可能な精度での革新的cDNA合成法の確立を目的とする.
|
研究実績の概要 |
マウスES培養細胞をホルマリン固定した細胞に対する定量性の高いcDNA合成法の確立 予備実験と同様に「2i+LIF」条件下で培養した, より均一性の高いES細胞集団を標準試料として使用し, 仮説として挙げた方法論の条件検討を行う. 単離したES細胞をホルマリン液に浮遊させて固定を行い, 遠心し洗浄する. 実体顕微鏡で観察下に1-10細胞程の微少量を採取し, cDNA合成を行う. また同一の細胞集団から未固定の細胞も採取し, cDNA合成を行う. 代表的な遺伝子群の発現レベルをqPCRで比較し, ホルマリン固定された細胞において生細胞に近いレベルでの合成効率 を目標とする. この行程においてはSC3-seq法に加える試薬の影響や, 温度条件によって生じる可能性のあるRNA分解に留意しつつ, cDNA合成を最適化する. 予備実験段階では24時間ホルマリン固定を行った細胞に対しては, タンパク分解酵素を加えることでcDNA合成効率は改善は認めたが, さらに精度の向上を目指し, 条件検討を追加で行う. その他より効率的に細胞溶解するために, detergentの検討やその他試薬の条件検討を行い, ES細胞のホルマリン固定という最も安定的な条件における, 手法のbrushupを行った. その結果, 現在使用していたSC3-seq法ではない手法に対してタンパク分解酵素の行程を加えるとどうなるかを検証した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当大学の発生再生医学教室にてSmart-seq2をベースに高品質なRNA-seq手法であるDRaqL法が開発された. 研究者も同教室で手法の開発に携わった. この手法ではより効率的に細胞溶解が可能となり, laser capture microdissection (LCM)で単離した細胞から高品質なRNA-seqが可能となった. 本手法はFFPEサンプルの細胞溶解にも非常に有用と考え, SC3-seq法に代わるベースの手法として選択した. この手法に研究者が前年度までに検討していたProtease処理の行程を加えて詳細な条件検討を行った. cell lineレベルの培養細胞をホルマリン固定した細胞に関しては, 今回検討した手法でホルマリン固定を行っていない細胞と遜色のないレベルで, 発現量の比較的少ない遺伝子の検出も可能であった.
|
今後の研究の推進方策 |
ホルマリン固定のみに対しては微量解析の方法論が確立できたと考えた. 今後はパラフィン包埋に対しての方法論の開発と条件検討を行う必要がある. その後はFFPE標本は固定に際してのRNAのdegradationや、固定後にもRNAの経年劣化が進むことは既報として知られており, 確立した方法論が固定条件や固定後の経年に応じてどの程度の品質が担保されるかを, 臨床検体を用いて検証していく必要があると考える.
|