研究課題/領域番号 |
22K08908
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55020:消化器外科学関連
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構(九州がんセンター臨床研究センター) |
研究代表者 |
山本 学 独立行政法人国立病院機構(九州がんセンター臨床研究センター), その他部局等, 消化管外科部長・HCU部長 (30380405)
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研究分担者 |
田中 芳彦 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 教授 (00398083)
藤 也寸志 独立行政法人国立病院機構(九州がんセンター臨床研究センター), その他部局等, 院長 (20217459)
森田 勝 独立行政法人国立病院機構(九州がんセンター臨床研究センター), その他部局等, 副院長 (30294937)
藤本 禎明 独立行政法人国立病院機構(九州がんセンター臨床研究センター), その他部局等, 消化管外科医師 (30875795)
田口 健一 独立行政法人国立病院機構(九州がんセンター臨床研究センター), その他部局等, 病理診断科部長、臨床検査科部長、腫瘍病理学研究室長 (40325527)
中島 雄一郎 独立行政法人国立病院機構(九州がんセンター臨床研究センター), その他部局等, 医師 (40733564)
三森 功士 九州大学, 大学病院, 教授 (50322748)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 胃癌 / マイクロサテライト不安定性 / 染色体不安定性 / ゲノム安定性 / 免疫応答 / 癌抑制遺伝子 / 胃がん / 分子機序 / 発癌 / タイプ別 |
研究開始時の研究の概要 |
これまで、胃癌の発生機序としてp53などのgeneticな異常を中心に染色体不安定性、メチル化低下などのepigeneticな異常のほか、放射線障害・重複癌とマイクロサテライト不安定性の関係を報告してきた。本研究は、発癌誘因と4つのタイプ別胃癌における各遺伝子群の解析およびゲノムワイドなメチル化との関連を調べることで、胃癌の発生および進展過程における分子生物学的機序を明らかにする。さらに、タイプ別胃癌に対する免疫応答メカニズムを解明することで、胃癌の予防およびタイプ別治療と個別化治療の確立につなげることを目的とする。
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研究実績の概要 |
胃癌にはヘリコバクター・ピロリの感染や喫煙、塩分摂取等による環境因子が関与すると言われている。一方、胃癌の分子学的発生機序は4つのタイプ(EBウイルス陽性胃癌「EBV」、マイクロサテライト不安定性胃癌「MSI」、染色体不安定性胃癌「GS」、ゲノム安定性胃癌「CIS」)に分類されることが報告されたが、その誘因とタイプ別メカニズムについての詳細は未だ明らかではない。我々は胃癌の発生機序としてp53などのgeneticな異常を中心に染色体不安定性、メチル化低下などのepigeneticな異常のほか、放射線障害のよる重複癌とマイクロサテライト不安定性タイプの関係を報告してきた。また、ミスマッチ変異が多発胃癌や高齢者胃癌、腸型胃癌に多く認めたことを報告し、さらに加齢、放射線によりミスマッチ変異が起こることを明らかにした。ゲノム安定性タイプの研究では、CDH1をコードするE-Cadherin蛋白は、ゲノム安定性タイプで欠失を認め、 ドライバー遺伝子であるRhoA蛋白強発現を4つのタイプではGSタイプで多く認めた。さらに、染色体不安定性タイプは、喫煙によりp53のtransversion変異が多いこと、さらにGlobalな低メチル化と相関しており、その低メチル化がp53変異を引き起こすことも報告してきた。本研究は、発癌誘因(喫煙・塩分・ヘリコバクタ―ピロリ感染)と4つのタイプ別胃癌との関係やタイプ別胃癌における各遺伝子群の解析およびゲノムワイドなメチル化との関連を調べることで、胃癌の発生および進展過程における分子生物学的機序を明らかにする。さらに、タイプ別胃癌に対する免疫応答メカニズムを解明することで、胃癌の予防およびタイプ別治療と個別化治療の確立につなげることを目的とする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
過去の1500検体から臨床病理学因子、治療経過や予後の精細が分かっている進行胃癌194例を抽出して4つのタイプ別に分けた。その結果、各タイプの頻度は、EBVタイプ6.7%、MSIタイプ4.1%、GS タイプ21.1%、CISタイプ68.1%であった。p53蛋白変異は、EBVタイプ20%、MSIタイプ43%,GS タイプ19%, CISタイプ54%とMSIとCISタイプに多く、GSタイプにおけるE-cadherin蛋白欠失とRhoA蛋白陽性の頻度は、各々28.6%と21.4%と高頻度であったが、RhoA蛋白強陽性は、EBタイプで8%およびCISで4%程度認めたが、E-cadherin蛋白欠失は、GSタイプのみに認めそれ以外のタイプには認めなかった。さらに、4つのタイプの予後に関しては、194例の検討であるが、5年生存率はMSIタイプ100%、EBタイプ76.9%、CISタイプ62%およびGSタイプは42.6%であった。つまり、GSタイプとCISタイプの予後を改善することが急務であり、それらのタイプのメカニズムの解明が必要である。そのため、ARID1A遺伝子変異およびゲノム安定性タイプの原因遺伝子候補のCLDN18-ARHGAP融合遺伝子を検討する。また、胃癌の発がん誘因となる喫煙やヘリコバクター・ピロリ感染および今年報告されたアルコール誘因の胃癌とタイプ別の関係の検討を行う予定で、現在までのおおむね順調に経過しているが、今後さらに免疫応答メカニズムの予測バイオマーカー(PD1, PDL1, CD8, ARID1A等)および遺伝子変異量を解析予定である。
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今後の研究の推進方策 |
研究を進めていく上で必要に応じて執行した。当初の見積額と異なったが研究計画には変更はなかった。当初の予定どおりに研究を行うが、研究推進のためには、本年度の繰り越しを含めて研究費が必要である。次年度も予定通り研究を行う。
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