研究課題/領域番号 |
22K08910
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55030:心臓血管外科学関連
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
菊地 信介 旭川医科大学, 医学部, 講師 (80596297)
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研究分担者 |
吉田 有里 旭川医科大学, 大学病院, 助教 (50646057)
内田 大貴 旭川医科大学, 医学部, 講師 (80422038)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 末梢動脈疾患 / 包括的高度慢性下肢虚血 / 足部重症度 / 静脈グラフト |
研究開始時の研究の概要 |
生活習慣病が蔓延する中、糖尿病をはじめ動脈硬化リスクにより発症する末梢動脈疾患により、慢性的な高度虚血を背景に足部創部および感染が合併し重症化している(包括的高度慢性下肢虚血)。本疾患には高額な医療資源が投入され、社会的な問題となっている。血行再建と足部局所管理が必要な病態として、治療耐久性がある自家静脈を用いたバイパス術は、特に足部重症度が高度な症例で施行されるが、使用されるグラフトは患者毎に血管径や壁肥厚の程度が異なり、これらの術前グラフトの術前因子は移植後の臨床成績に直結する。静脈グラフトが開存する因子について組織と細胞を用いて研究し、グラフト開存の助けとなる病態を理解する。
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研究実績の概要 |
本研究課題は、自家静脈グラフトの開存率向上を目的として静脈壁細胞の機能を解明する研究である。我々のこれまでの成果から静脈壁の外膜細胞がもつ性質が、移植後のグラフトリモデリングに影響することが推測される。本年度の末梢バイパスからの組織片は少なく(足部動脈へのバイパスが多かったため)、組織培養に使用できる程の組織量がなかったため、病理標本の提出と細胞抽出を優先した経緯がある。①術前静脈グラフトの炎症マーカー評価は、6種類の抗体をオーダーしているが抗体発送を待っている最中であり、組織標本の薄切までは終了し染色の準備はできているが、染色と評価は次年度の持ち越しとなる。②外膜組織からの細胞抽出は約20症例ほど確保できており、6症例分の細胞増殖能を検討した結果、足部創部の重症度が高い群(N=3)では、創が無いもしくは軽症の症例群に比べ、外膜細胞の増殖能が促進している結果を得た。これはN数を増やして検討し、データを確定させる必要がある。非常に興味深い点は、これらの足部重症度が高度の外膜細胞は、同時に得た中膜内膜からの平滑筋細胞の増殖を促進する点であった(軽症例の外膜細胞での効果は乏しい)。③得られた外膜細胞の生物学的分化度は、免疫染色で評価予定であったが、②の細胞増殖能評価(組織からの細胞確保)を優先したため、本検討項目評価は遅れている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
免疫染色を行う際の抗体が、世界情勢のため半年間以上遅れている状態であることが大きい。しかし、令和5年度には問題なく免疫染色が可能となるため、次年度にはデータを得ることが可能である。また、得られた組織はホルマリン固定パラフィン包埋と細胞抽出で精一杯であるため、組織培養へ使用は難しい状態が続いた。
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今後の研究の推進方策 |
細胞抽出は20症例分確保できており、細胞機能に向けた準備は整っている(令和5年は足部重症度別に細胞機能のN数をさらに増やし、データを確定させる。これらの細胞はR5に予定している遺伝子スクリーニングに使用される。同様に組織標本は細胞抽出群に合わせてすべて標本として確保しているため、抗体が届き次第染色を開始する。余剰組織が多く得られた場合は、外膜組織の組織培養分として実験予定である。
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