研究課題/領域番号 |
22K08912
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55030:心臓血管外科学関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
黄野 皓木 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (40375803)
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研究分担者 |
松宮 護郎 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (20314312)
乾 友彦 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (70816503)
諫田 朋佳 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (20836126)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 温阻血時間 / IL-11 / ミトコンドリア障害 / 心筋保護効果 |
研究開始時の研究の概要 |
生体内で多彩な生理作用を有するサイトカインの1つであるインターロイキン-11は、心保護的な役割を備えており、虚血再灌流傷害に対しても、心筋線維化防止・リモデリング減少・脈管形成促進・アポトーシス阻害といった機序により虚血前後で心保護作用が発揮されることがわかってきており、心筋の冷/温阻血のどの条件下においても有意な心機能改善効果があること、さらに電子顕微鏡解析において虚血再灌流障害を受けた心筋細胞内のミトコンドリア損傷を防止する効果も示唆された。本研究ではIL-11の至適投与方法とミトコンドリア障害の減衰効果の解明を目的としており、将来的にはIL-11を用いた心不全の発症・増悪予防法の確立を目標としている。
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研究実績の概要 |
本研究は、心筋保護作用を有するIL-11を用いた心不全外科領域における新規治療法の確立を目標としており、次の2点を主な研究目的としている:(1)IL-11の早期臨床応用を目指すためその至適投与方法の探索;(2)IL-11の心筋ミトコンドリアレベルにおける保護作用機序の解明。具体的には、(1)についてはIL-11の心筋保護作用が最も発現される投与量および投与タイミングの探索、(2)についてはIL-11によるミトコンドリア障害の減衰効果の定量的な解明を行うことであり、いずれも小動物(ラット)を用いて研究を進めている。
現在までの主な研究成果は、IL-11の投薬はまだ開始していないが、IL-11の効果を観る本研究に最適な温阻血時間が求められたことが挙げられる。それには、研究計画に従ってラットの心臓を摘出し、温阻血障害を与え、その後にランゲンドルフ装置で障害された摘出心を60分間再灌流させるが、温阻血時間を20分, 30分, 40分と設定し、各温度(ラット2-3匹ずつ使用)で得た結果を比較する必要があった。この「前実験」で分かったことは、温阻血時間 20分では心収縮の回復が全例に観られ、40分では回復を認めなかった(心停止のまま)。また、30分で約半数が回復したため、さらに25分で行ったところ、全例に心収縮を認めたものの全回復に至らなかった。これらの結果から、IL-11効果判定には25分の温阻血時間が最適であることが判明した。
研究の進捗状況としては、実は大幅に遅れており、現在のところ(2)の研究については、ミトコンドリア機能を評価するための装置(フラックスアナライザー)の操作は習得済みであるが、(1)の結果等を参考にする必要があるため開始に至っていない。一方(1)の研究は、上記の通りようやく準備が整ったところであり、まもなくIL-11を使った実験を開始する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究の目的を達成するためには、まずIL-11効果が容易に判定できる至適温阻血時間を求める必要があり、その上でIL-11投与量の最適化とミトコンドリア機能評価が実施可能となるが、この「前実験」に想定以上の多くの時間を費やした。また、フラックスアナライザーの操作とその準備や技術習得にも時間を要した。フラックスアナライザーを扱える技術者との時間合わせが困難であったことも遅れの原因の1つであった。こうした背景に通常の臨床業務の多忙さが加わり、研究進行に遅延が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
前年度の研究が未完なため、今年度は引き続き前年度の実験を継続する。研究遂行上の大きな障害となっていた解析装置操作方法の習得と研究開始条件の設定は完了した。今年度は、動物実験の3Rをさらに意識しながら、本研究の主目的にフォーカスした実験を実施する予定である。
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