研究課題/領域番号 |
22K08919
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55030:心臓血管外科学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
平 将生 大阪大学, 医学部附属病院, 講師 (90624651)
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研究分担者 |
長谷川 然 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (00896508)
渡邊 卓次 大阪大学, 医学部附属病院, 特任助教(常勤) (80838582)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 心筋症 / 小児心臓移植 / 補助人工心臓 |
研究開始時の研究の概要 |
小児の心筋症患者の中で、VADや心臓移植を必要とする重症心不全患者の予後は不良である。その中で、乳幼児期に心不全を発症する症例は特に致死率が高く、早期のVAD装着を要する症例が存在する。しかし、その中には、VAD装着後に心機能の改善を認め、補助人工心臓離脱に到達する症例がある。 本研究では、VAD装着時に採取した左心室心筋組織の病理学的検討や血液検体から遺伝学的検討を行い、VAD装着後に心機能改善を示した症例の心機能改善に関する因子を同定する。本研究では、この情報をもとに、心機能予後予測アルゴリズムの作成・個別化医療の最適化を図り、新規の心臓再生療法の治療ターゲットの探索を行うことを目的とする。
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研究実績の概要 |
小児重症心不全患者のうち、補助人工心臓を装着し、心臓移植を待機している患者を対象に、心機能回復のメカニズム、cardiac reverse remodelingに関する因子の検索等を行った。 過去に、手術施行時に採取した左室緻密化障害(LVNC)を伴う拡張型心筋症の左室心筋の病理組織学的検討と、当該患者の臨床経過、臨床検査データ等を照らし合わせることで、補助人工心臓からの離脱の可能性について、後方視的な観察研究を行った。 組織学的には、LVNCを伴う拡張型心筋症の心筋では、LVNCを合併しないものと比べ、有意に心筋線維化が進行しており、microcapillary densityに変化がみられた。臨床的には、LVNCを合併しない拡張型心筋症患者については、補助人工心臓装着術後に一定期間の心負荷軽減を行ったところ、心機能回復が認められ、補助人工心臓離脱に至った症例が有意に多いことがわかった。LVNCを伴う拡張型心筋症患者については、心機能回復ののち補助人工心臓離脱に至った症例は認められなかった。臨床データ的には、左室収縮機能及び拡張能の変化率も、二群間で有意に差が認められ、LVNCの存在が、心機能回復を阻害する因子の一つであることが示唆された。 これらのデータを元に、重症心不全患者のbridge to recoveryに係るメカニズムや新たな指標の検索を開始した。心筋症患者を対象にした、左室機能予後を反映する左房ストレインの低侵襲的測定の実施、患者由来の疾患特異的iPS細胞を樹立し、構造や機能解析等に関する検討を開始した。 2022年度は臨床的問題点を明らかにするためのバックグラウンドとなる後方視的観察研究を主に行い、それらの結果について国内、国際学会を中心にその成果を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
小児重症心筋症患者に対する補助人工心臓装着後の心機能回復に関するメカニズム解析を具体的に行うためには、まずは臨床検体を用いた組織学的評価及び臨床経過を照らし合わせることで、臨床的問題点を明らかにすることが必要であると判断し、2022年度は後方視的観察研究を中心に行うこととした。今後、さらなる検討を行うための課題等の抽出が順調に行われており、今後の研究を推進する具体的計画を立てることができている。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度の臨床的バックグラウンドを元に、今後は、疾患特異的iPS細胞を用いた心機能回復に関するメカニズムの分子生物学的検討を主に進めていく。構造的機能的解析、治療ターゲットとなる分子の同定等を行っていく。 補助人工心臓装着による左室に対する容量負荷軽減が、何らかの遺伝子発現およびエピジェネティックな変化をもたらすのか、あるいは遺伝的バックグラウンドが、mechanical supportによる反応性の差異をもたらすのか等の探索を行うことを検討する。 また、bridge to recoveryのリスク因子となるマーカーの探索や、臨床的な新規検査モダリティの検索も同時に行う。
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