研究課題/領域番号 |
22K08932
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55030:心臓血管外科学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
寺澤 幸枝 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (50566990)
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研究分担者 |
成田 裕司 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (60378221)
緒方 藍歌 名古屋大学, 医学系研究科, 特任講師 (70718311)
六鹿 雅登 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (80447820)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 大動脈瘤 / 炎症 / マクロファージ / アポトーシス / 抗体療法 / 抗体 |
研究開始時の研究の概要 |
動脈硬化が主因である大動脈瘤は慢性炎症を呈する。慢性炎症の中心的役割を担うのはマクロファージであり、マクロファージが産生するアポトーシス抑制因子AIM の炎症機構を制御することができれば、AIM が新たな大動脈瘤の治療標的になりうると考えた。本研究では、大動脈瘤におけるAIM の炎症増悪メカニズムを解明し、AIM 制御による大動脈瘤治療の可能性について明らかにする。本研究で得られる成果は、大動脈瘤における全く新しい側面からの炎症機構に着目した治療法を提案し、臨床応用を目指すことが可能となる。加えて、新たな大動脈瘤の炎症機構の解明と病態の理解に寄与できる。
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研究実績の概要 |
動脈硬化の終末像である大動脈瘤は、破裂すると救命が困難な疾患であるため、治療は予防的人工血管置換術である。しかし、この外科治療は侵襲が大きく、その一方で確立された内科的治療法はない。研究代表者らは、大動脈瘤に対する新たな低侵襲な治療法として間葉系幹細胞(MSC)治療を試みてきた。その結果、 大動脈瘤部位に浸潤した炎症性(M1) および抗炎症性(M2)マクロファージが、病態メカニズムの中心的役割を果たしていることを示した。動脈硬化では、マクロファージ産生因子であるApoptosis inhibitor of macrophage (AIM)の過度な産生によるアポトーシス抵抗性を介した慢性炎症の増悪が知られているが、大動脈瘤においてAIMがどのように寄与しているのかは不明である。本研究では、大動脈瘤におけるAIMの炎症病態への寄与を解明するとともに、AIM中和抗体を用いて大動脈瘤治療効果を検証しAIMが新たな治療標的となりうるかを明らかにする。 本年度では、大動脈瘤モデルマウスを用いて抗AIM抗体による大動脈瘤発症抑制効果について検討した。apolipoprotein E遺伝子欠損マウスに、皮下埋植した浸透圧ポンプからAngiotensin IIを4週間持続注入する大動脈瘤モデルを作成した。Angiotensin II持続注入開始とともに、抗AIM抗体または抗IgG抗体 (control)を腹腔内投与した。経時的(0,1,2,3,4週)にエコーで大動脈最大短径を測定した。投与回数の比較検討として、隔週投与または毎週投与を行なったところ、隔週投与では抗AIM抗体投与群はcontrolと同様に大動脈径が拡大していったのに対し、毎週投与では抗AIM抗体投与群で有意に拡大が抑制された。このことから、投与回数は大動脈瘤進展に大きく影響を及ぼすことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた実験計画の通りに進んでいるため、おおむね順調に進展していると考えた。
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今後の研究の推進方策 |
大動脈瘤進展抑制効果の評価を行う。大動脈瘤モデルマウスに抗AIM抗体または抗IgG抗体を投与する。投与4週間後に屠殺し、肉眼所見、顕微鏡下瘤径測定、組織学的評価(Elastica van gieson染色)、免疫組織学的染色評価(炎症性マクロファージ M1MF; iNOS, 抗炎症性マクロファージM2MF; CD206)、生化学的評価としてELISAによる組織中タンパク発現量定量測定(AIM, IL-1β, IL-6, IL-10, MCP-1, TNF-αなど)およびMMP-2,-9酵素活性測定を行う。
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