肝障害合併成人心臓手術のアシアロ肝シンチグラフィーによる術前リス ク評価法の確立

• 研究課題/領域番号: 22K08939
• 研究種目: 基盤研究(C)
• 配分区分: 基金
• 応募区分: 一般
• 審査区分: 小区分55030:心臓血管外科学関連
• 研究機関: 鹿児島大学
• 研究代表者: 松本 和久 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 講師 (10363631)
• 研究分担者: 向原 公介 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 助教 (40747903) ; 曽我 欣治 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (50568607) ; 上田 英昭 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (50598274)
• 研究期間 (年度): 2022-04-01 – 2025-03-31
• 研究課題ステータス: 交付 (2023年度)
• 配分額: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円); 2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円); 2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円); 2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
• キーワード: アシアロ肝シンチグラフィ / うっ血肝 / 成人心臓手術 / アシアロ肝シンチ / 術前肝機能評価

研究開始時の研究の概要

従来の複数の指標に加えて、術前にアシアロ肝シンチグラフィーを行う。その解析で得られた結果を、 従来のChild-Pugh分類やModel for End-stage Liver Disease (MELDスコア)、血液生化学データ、予後と比較検討しつつ、アシアロ肝シンチグラフィーがより優れた「術後重症化や予後を予測するモデル」になりうるかを検証する。症例を重ねて他の複数の指標とも比較することにより、非心臓性肝硬変のみならず、特に肝障害の程度の判定が難しいうっ血肝合併例での正確な手術リスク・予後の予測になるのではと予想している。

研究実績の概要

本研究の目的は、肝機能障害（うっ血肝およびうっ血性肝硬変、慢性肝疾患に伴う肝硬変）を有する患者への成人心臓手術の術前リスク評価と、術前肝機能と術後早期経過、長期予後との関連の評価を正確に行うための臨床、研究データの解析である。成人心臓手術は技術の向上により治療成績が良くなってきているが、術前肝機能障害合併例、特に肝硬変またはうっ血肝合併例の成績は不良で手術死亡率も高い。手術適応限界は以前より検討されているが、それぞれの報告で数多くの症例を検討したものはなく、まだ明確な結論が出ていない。肝障害患者の心臓手術リスクは、すでに確立している一般的な日本、海外の心臓手術リスクスコアでは全く評価できない。そのため、より正確な肝障害の手術リスク評価の指標が欲しいところである。右心不全に伴ううっ血肝、うっ血性肝硬変、非心臓性肝硬変を伴う心臓手術症例を対象に、従来の複数の指標に加えて術前にアシアロ肝シンチグラフィを行い、その解析で得られた結果を従来のChild-Pugh分類やMELDスコア、血液生化学データ、予後と比較検討しつつ、アシアロ肝シンチグラフィがより優れた「術後重症化や予後を予測するモデル」になりうるかを検証することを目的としている。症例の通常の臨床検査データから得られるデータ収集、予後についての経過観察を行なっているところである。現在の症例数で解析を開始し、血液生化学データの推移や合併症の発生に傾向がないか把握を試みているところである。

現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

症例を収集し、最近の術後経過・予後も観察している状況であるが、アシアロ肝シンチグラフィー施行症例が未だ18例で目標奨励数にはまだ到達できていないペースである。特に非心臓性肝硬変の症例数が少ない。

今後の研究の推進方策

うっ血肝が術前に薬物でコントロールされ、血液生化学データには現れにくいが画像上は肝硬変がある等、肝予備能低下を伴う慢性心不全症例は潜在的にあると思われ、術前の心エコーやCT画像を注視してそういった症例を見逃さないように症例数を蓄積する。アシアロ肝シンチグラフィーで得られたデータでの肝不全、感染症、出血関連合併症、入院死亡などのカットオフ値を決定し、Child-Pugh分類やMELDスコアと比較するのが最終目標であるが、現在の症例数で解析を開始し、血液生化学データの推移や合併症の発生に傾向がないか分析を試みているところである。