研究課題/領域番号 |
22K08948
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55030:心臓血管外科学関連
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
中村 信久 愛知学院大学, 歯学部, 准教授 (50619773)
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研究分担者 |
山田 敏之 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (10728299)
伊藤 瑞穂 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (40814611)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 心臓周囲脂肪組織 / アディポサイトカイン / 心外膜周囲脂肪組織 / ケメリン / 動脈硬化 / マクロファージ |
研究開始時の研究の概要 |
名古屋市立大学病院で本研究の同意が得られた冠動脈バイパス手術を受けるCAD群(50名)と 大動脈弁または僧帽弁の置換手術を受ける非CAD群(50名)のEATおよびSCATを用いる。 CAD群においては心筋血流SPECTを実施し、虚血の責任冠動脈の同定と重症度を判定する。また心臓カテーテル検査における冠動脈病変枝数と各枝の狭窄率を評価する。 本実験では、EAT、SCATにおけるケメリン受容体の発現およびマクロファージの極性を定量化し、これらのパラメーターと血清ケメリンや臨床検査情報、喫煙、身体活動度等の生活習慣情報からCADのリスクを統合的に解析する。
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研究実績の概要 |
我が国における冠動脈疾患(CAD)の発症率および急性発症時の死亡率は依然として高く、救命されたとしてもその後の後遺症として慢性心不全を続発するこ とは国民の憂慮すべき問題である。そのため、日常臨床におけるCAD発症の予測因子の開発が求められている。 近年、心外膜周囲脂肪組織(epicardial adipose tissue: EAT)における炎症性サイトカイン発現やマクロファージ浸潤が冠動脈硬化に関与している可能性が示唆されている。マクロファージの強力な走化性因子であるケメリンは、肥満やインスリン抵抗性に関与するアディポサイトカインであり、炎症を惹起することによって冠動脈などの動脈硬化を促進するといわれている。本研究では、CAD患者のEATに存在するマクロファージのM1/M2極性に着目し、EAT内におけるケメリンとの相関を検討する。さらに、当該症例の血清ケメリン、臨床検査情報や生活習慣病情報も包括した統合的解析を行い、CADにおけるケメリンの病態的意義を解明し、血清ケメリンがCAD発症予測因子となりうるかを検証する。 今回の予備実験の結果では、脂肪サイズの確認においてCADと非CADとの有意な差を認めなかった。CADではEAT量は増加しているものの、EAT量とCADの重症度が関連しないという報告があり、その結果を今回の予備実験では反映している可能性がある。そのため、EATにおけるアディポサイトカインの分泌様式、マクロファージの浸潤などEAT の質的異常がCADの進展に影響を及ぼしている可能性を今後検討していく必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は観察研究のため、心臓血管外科手術の必要症例数を得る必要があり、倫理委員会承認後に了解頂いた患者に研究の必要性を丁寧に説明し、検体採取を行っている。2024年5月現在までに約70例(CAD25症例・non-CAD症例45例)が得られているが、統計学的に必要な症例数である100症例(CAD50症例・non-CAD症例50例)を目標に今後も継続していく。一方で現在得られた検体のEAT、SCATにおける脂肪組織片を抗ケメリン抗体および抗CMKLR1抗体を用いて染色し、脂肪組織における発現強度を蛍光免疫組織染色にて測定している。さらに血清のアディポサイトカイン濃度測定を逐一行っており、研究の進捗状況はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は引き続き該当患者に研究の必要性を丁寧に説明し、検体採取を行っていく。同時に今までに得られた患者検体のEAT内のマクロファージの極性 を確認するとともに、EAT、SCATにおける脂肪組織片を抗ケメリン抗体および抗CMKLR1抗体を用いて染色し、脂肪組織における発現強度を蛍光免疫組織染色にて 測定する。また血清アディポサイトカイン値の測定を逐一行っていくとともに、心臓血管術症例から冠動脈病変の程度の定量化を行ったのち、血液検査や性差、 BMI等の臨床検査情報を統計ソフトを用いて重回帰分析し、標準化係数からケメリン並びに各種臨床検査情報におけるマクロファージ極性および動脈硬化への寄 与度を評価する。一方で皮下細胞細胞におけるケメリンの発現変化が水素ガスの添加によって変化する所見を得たため、新たな研究を行っていく。
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