研究課題/領域番号 |
22K08962
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55030:心臓血管外科学関連
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
齋藤 雄平 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (80915489)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 大伏在静脈 / 水素 / 冠動脈バイパス術 / 一酸化窒素 / 内皮障害 |
研究開始時の研究の概要 |
冠動脈バイパス術の治療効果を最大限にするにはバイパスに使用する血管(グラフト)の「質」が重要であるが、採取が簡便で多用される大伏在静脈は10年で約半数近くが閉塞する事が知られている。これまで我々は大伏在静脈採取時のグラフト自体への外科的手術侵襲の程度を基礎実験的な手法を用いて解析し、より低侵襲なグラフト採取法を提言してきた。一方、水素が体内の活性酸素を排除するという科学的裏付けが報告され、虚血再灌流障害の軽減や抗炎症作用等の効果を有し臓器保護につながると期待されている。本研究では、水素の臓器保護作用を利用した大伏在静脈グラフトの最適保存法の確立および臨床応用を目的とする。
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研究実績の概要 |
本研究は、水素を含んだグラフト保存液の効果としてグラフト血管に対する侵襲の軽減作用を、グラフト血管の機能にフォーカスして基礎実験的に証明し、その成果を臨床応用することを目的とする。 水素の虚血再灌流障害の軽減や抗炎症作用は、グラフト血管に対する侵襲軽減のメカニズムとなり得るのではないかと考えられる。実際の患者から採取した大伏在静脈のグラフト血管保存液に水素ガスを使用し「水素ガス添加・非添加」での血管の反応性の差異を下記の方法で検討する。①ホルマリン固定した2種のグラフトに、下記の抗体を用いて免疫染色・ウェスタンブロットを実施し、主に内皮細胞の機能や血管の内膜・中膜・外膜の状態を検討(CD34、vWF、Akt、phosphorylated Akt、eNOS、phosphorylated eNOS、Klf4、myocardin、VCAM-1)。②凍結保存したグラフトにDHE 染色を実施し、血管壁の酸化ストレスの指標とする。③氷冷クレブス/培養液中で保存したグラフトを以下の方法で検討。ア) 血管張力測定:Phenyrephrine 投与で血管収縮能を評価:Acethylcholine およびSpermine/NONOate投与で血管拡張能を評価。イ) 培養液中のNO2/NO3 測定:NO2をNO3へと還元酵素を用いて還元し、NO3 を定量し、水素が添加された血管の方がNO の産生が優れていることを示す。ウ)培養液中のアディポカイン測定:Non-touch techniqueにより採取された血管には脂肪を含めた血管周囲組織が付着しており、水素の有無により脂肪から産生されるアディポカインに差があるかELIZAで測定。エ) 血管内皮細胞の遊走・増殖実験:水素を添加した血管の方が内皮細胞の増殖能が高いことを示す。 上記に関して、現在、①,②に対する実験の準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
実験計画は大幅に遅れ、極めて不本意なものとなっている。遅れの主たる原因は、1)実験担当者の臨床業務が多忙となり計画的に実験時間を確保できなかったこと、2)以前に実験していた教員、大伏在静脈をNon-touch techniqueにて採取していた教員の勤務先が変更となり引き継ぎが円滑に行われなかったことである。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度から2025年度に主たる実験を行う計画としていたので、2022年度、2023年度に予定していた実験計画を遂行する。実験環境が整備されてきているので大幅な実験計画の変更なく、行う予定である。 具体的には下記を行う。 (1)実験時間の確保:令和5年4月より臨床業務を担当する教室の外科医が2名増員した。実験担当者の臨床業務を極力削減し、実験と研究の時間を確保できる体制とする。また要請に応じて実施していた実験責任者の外勤を完全になくし、定期的な実験時間が不測の手術などを除けば確保できる状況となった。 (2)大伏在静脈採取に関しては他の医師がNon-touch techniqueによる採取技術を取得できるように取り組んでおり、一定の効果が得られてきている。
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