研究課題/領域番号 |
22K08974
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55040:呼吸器外科学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
杉本 誠一郎 岡山大学, 大学病院, 准教授 (40570148)
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研究分担者 |
豊岡 伸一 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (30397880)
岡崎 幹生 岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (50467750)
逢坂 大樹 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (70839141)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 高ヒスチジン糖タンパク質(HRG) / 虚血再灌流障害 / 早期移植肺機能不全(PGD) / 肺移植 / マウス / 好中球浸潤 / 急性肺障害 / アポトーシス / HMGB1 |
研究開始時の研究の概要 |
肺移植後の虚血再灌流障害(IRI)は早期移植肺機能不全(PGD)の主因であり、急性・慢性拒絶の発症や生存率低下の要因となる。肺移植後の予後を改善するためには、IRIの制御が鍵となるが、IRIにはHigh-mobility group box 1(HMGB1)などの様々な炎症性サイトカインが関与する。当施設では、生体自身が有する抗炎症タンパク質である高ヒスチジン糖タンパク質(Histidine-rich glycoprotein, HRG)がHMGB1を介した炎症反応を抑制するという知見を得ており、本研究ではマウスモデルを用いて、肺移植後IRIにおけるHRGの役割と治療効果を解明する。
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研究実績の概要 |
肺移植後の虚血再灌流障害は早期移植肺機能不全の主因であり、急性拒絶や慢性移植肺機能不全の発症や、肺移植後生存率が低下する要因となる。肺移植後の予後改善には虚血再灌流障害の制御がキーとなるが、本研究では高ヒスチジン糖タンパク質(Histidine-rich glycoprotein, HRG)に着目した。HRGは、凝固、線溶、炎症の調節等に関与する多機能性の血漿糖タンパク質である。申請者はこれまで、肺移植患者の血液検体を用いて、肺移植後72時間における高度の早期移植肺機能不全症例では血漿HRGが低下し、HRGの低下が将来的な慢性移植肺機能不全の発症や全生存率の低下に関連することを報告した。本研究では、マウス肺門クランプモデルを用いて、肺の虚血再灌流障害に対するHRG補充療法の治療効果を検討している。予備実験で、肺移植患者と同様にマウスの肺虚血再灌流障害でも血中HRGの発現が低下することを確認した。その後、マウスを偽手術群と虚血再灌流障害群に分け、更に虚血再灌流障害群をコントロールとしてPBSを投与するPBS群、ヒト血清アルブミン(HSA)を投与するHSA群、HRGを投与するHRG群に分けた(各群ともn=5)。4群間で動脈血液ガス、組織学的肺障害スコア、好中球浸潤、アポトーシス、炎症性メディエーター発現などを評価した。他群に比べHRG群では、PaO2/FiO2 比による肺機能や、組織学的肺障害スコアが有意に良好であった。免疫染色では好中球浸潤が減少しており、TUNEL染色でもアポトーシスが抑制されていた。またHRG群では、再灌流肺におけるCXCL1、MIP-1α、MIP-1β、G-CSF、GM-CSF、IL-1β、IL-6、IL-10などの好中球関連炎症性メディエーターの発現が有意に減少していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウス肺門クランプモデルを用いて予備実験を行い、肺移植患者と同様に、マウスの虚血再灌流障害肺で血中HRGの発現が低下することを確認した。次に、HRGの治療効果を評価するために最適な虚血時間や評価のタイミングなどの実験モデルを確立した。その後、マウスを偽手術群と虚血再灌流障害群に分け、更に虚血再灌流障害群をコントロールとしてPBSを投与するPBS群、ヒト血清アルブミン(HSA)を投与するHSA群、HRGを投与するHRG群の4群に分け、4群間で動脈血液ガス、組織学的肺障害スコア、好中球浸潤、アポトーシス、炎症性メディエーター発現などを評価することができた。現在、更なる病態機序の解明を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
マウス肺虚血再灌流障害の実験モデルを用いて、現在までに得られた4群間での動脈血液ガス、組織学的肺障害スコア、好中球浸潤、アポトーシス、炎症性メディエーターの発現などの結果の解析を進め、病態機序を解明して論文化を進める。
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