研究課題/領域番号 |
22K08982
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55040:呼吸器外科学関連
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
下村 雅律 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90433268)
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研究分担者 |
井上 匡美 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10379232)
石原 駿太 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員講師 (60751279)
矢追 毅 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40311914)
井上 正宏 京都大学, 医学研究科, 特定教授 (10342990)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 初代培養スフェロイド / 大腸癌肺転移 / STAS / 転移性肺腫瘍 / 大腸癌 / CTOS |
研究開始時の研究の概要 |
大腸癌肺転移における気腔内伸展の病態を解明することが目的である.本研究では細胞集塊として3次元培養を行う方法であるCancer Tissue-Originated Spheroid (CTOS法)を用いて病態解明を行う.CTOSと気道オルガノイドを用いたin vitroにおけるSTAモデルシステムを構築し,大腸癌CTOSの特徴の一つであるpolarity switchingに着目してSTASモデル内で分析することで大腸癌STASにおける分子病理的な検証を行う.
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研究実績の概要 |
近年,肺悪性腫瘍における周囲の気腔内への散布像所見としてSpread Through Air Spaces (STAS)が定義された.大腸癌肺転移におけるSTASは局所再発率・生存率に関連する予後不良因子として報告されているが,その分子生物学的病態は解明されていない.本研究では患者切除標本から細胞集塊として3次元培養する方法であるCancer Tissue-Originated Spheroid (CTOS)法を用いた病態解明と局所制御法の確立が目的である.具体的にはまずCTOSと気道オルガノイドを用いたin vitroにおけるSTASモデルシステムを構築する.次に大腸癌CTOSの特徴の一つであるpolarity switchingに着目してSTASモデル内で分析することで,大腸癌STASにおける分子病理学的な検証を行う.さらには薬物療法などによる大腸癌STASの制御を検証することで大腸癌STASにおける局所制御法を確立し,大腸癌の予後改善に寄与できるものと考える.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(A)大腸癌肺転移STASにおける腫瘍極性 (polarity)の形態学的評価と臨床病理学的因子との検討;STAS陽性原発性肺癌および大腸癌肺転移症例に関してSTASにおける極性の評価を行った。多くのSTASではapical-outもしくはmixed(apical-outとapical-inの混合)を示した。 (B)大腸癌肺転移STAS症例からのオルガノイドの樹立とin vitroにおける大腸癌肺転移STASモデルを用いた大腸癌肺転移オルガノイドの極性転換の解析:大腸癌CTOS オルガノイドとマウス肺より調製したairway オルガノイドを二次元培養したものとの共培養を行い相互作用における極性の役割を解析した。腫瘍の接着において初期にはapical 膜同志による接着がおこり、その後接着面におけるがんオルガノイドのapicalの極性が失われる現象(loss of apical membrane)が観察された。 (C) 極性転換の阻害によるがんオルガノイドの遊走能・浸潤能の評価:Apical-outとapical-in オルガノイドを比較すると、前者で接着率が高かった。またpolarity switchingの阻害剤であるdasatinibによる処理はloss of apical membraneも阻害すること結果が得られた。 (D) STAS のin vivoモデルの確立:オルガノイドをマウスに経気管的に投与することでin vivoでのSTASモデルの確立を行った。このモデルを用いたapical-outオルガノイドとsingle cellとの比較では、オルガノイドの方が生着率が有意に高かった。また生着腫瘍ではapical-outからapical-inへの極性転換がみられた。
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今後の研究の推進方策 |
(A)大腸癌肺転移STASにおける腫瘍極性の形態学的評価と臨床病理学的因子との検討:現時点で解析を行ったSTAS陽性原発性肺癌および大腸癌肺移転症例は20例であるが、今後さらに症例数を増加させる予定である。また腫瘍極性と臨床病理学的背景との関連の解析を行っていく予定である。 (B)大腸癌肺転移STAS症例からのオルガノイドの樹立とin vitroにおける大腸癌肺転移STASモデルを用いた大腸癌肺転移オルガノイドのpolarity switchingの解析:初期の接着にはapical 膜同士の相互作用が重要であるという結果から、apical 膜発現タンパクに注目し、マイクロアレイ解析結果から候補分子を抽出し、がん-気道上皮間接着におけるloss of apical membraneに与える影響に関する解析を進める。また極性転換関連分子であるSrcに関連したpathway解析を進める。 (C) 極性転換の阻害によるがんオルガノイドの遊走能・浸潤能の評価:極性転換阻害とloss of apical membrane阻害の関連性および接着安定性の低下の解析を進める。 (D) STAS のin vivoモデルの確立:マウスモデルを用いた極性状態による生着率の検証、さらにはdasatinibによる極性転換阻害による影響に関して解析を進める。
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