研究課題/領域番号 |
22K08990
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55040:呼吸器外科学関連
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研究機関 | 千葉県がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
横井 左奈 千葉県がんセンター(研究所), 遺伝子診断部, 部長 (30372452)
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研究分担者 |
岩田 剛和 千葉県がんセンター(研究所), 呼吸器外科, 部長 (30586681)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 肺癌 / EGFR |
研究開始時の研究の概要 |
これまでの我々の肺腺癌の研究において、EGFR compound mutationの中にはL858R 等の活性化型変異であるcommon mutation単独と比べてチロシンキナーゼ阻害薬の感受性が低下し、重複癌を生じやすい症例群を見出しており、EGFRの一方の変異が生殖細胞系列に由来することをつきとめた。そこで本研究では、生殖細胞系列由来のEGFR変異がイニシエーターとなって活性化型変異を誘導して治療抵抗性の肺癌易罹患性を生じさせる遺伝性肺癌発症機構の存在を明らかにする。
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研究実績の概要 |
肺腺癌において、EGFR遺伝子の変異は癌化およびチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)感受性の指標として最も重要な分子マーカーのひとつである。近年、肺腺癌において、EGFR変異の約20%が複数の変異からなる複合変異であり、チロシンキナーゼ阻害薬の感受性を低下させる要因となることが明らかになってきた。しかし、複合変異の発生メカニズムやどの様な症例に生じるのかは明らかになっていない。 我々の同定したEGFR複合変異症例では、L858R等の活性化型変異単独と比較して肺癌におけるチロシンキナーゼ阻害薬の感受性が低下していた。また、それらの複合変異症例には重複して癌を発症している症例が多いことを見出した。更に、それらの症例において、複合変異を構成する2つの変異のアレル特異性を確認したところ、両者は互いにcis位に配置されていた。さらに、肺癌のEGFR変異はこれまで体細胞由来と考えられてきたが、これらのEGFR複合変異においては、common mutationは体細胞由来であるものの、uncommon mutationは生殖細胞系列由来であることを明らかにした。このuncommon mutationは、日本人および欧米人の一般集団にはほとんど認められないレア・バリアントであり、進化上、魚類からヒトまで高度に保存されていた。このuncommon mutationは、肺癌易罹患性に関わると考えられた。これらの症例のうち、発端者が現在も当院に通院している症例につき、臨床遺伝専門医と認定遺伝カウンセラーによる家族歴聴取を行い、上下三世代に渡る詳細な家系図を作成した。症例の家系図の比較検討では、これらは三度近親以内の血縁関係にはない異なる家系であることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一部の計画は今年度の実施が難しかったが、その分、来年度以降の計画を前倒しに行った。結果として、おおむね研究計画の通りに進行している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、見出したEGFRのuncommon mutationについて、変異アレル分布の地域的な偏りによるものかどうかを評価する。そのために、国内の大規模ゲノムコホート研究の検体を用いて一般集団でのアレル頻度を調べ、症例―対照研究によりオッズ比を算出する。また、この変異が肺癌易罹患性を引き起こすメカニズム、およびTKI感受性を低下させるメカニズムの解明を進める。
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