研究課題/領域番号 |
22K09014
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55040:呼吸器外科学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
木村 亨 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (90580796)
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研究分担者 |
舟木 壮一郎 大阪大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (50464251)
新谷 康 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (90572983)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 肺癌 / 間質性肺炎 / 肺線維症 / 癌関連線維芽細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
肺癌は日本における癌死亡の第1位を占める予後不良な疾患で、中でも組織型は腺癌が大半を占める。肺線維症や間質性肺炎は肺癌の重要な不良因子の一つである。また、近年、新しい癌の免疫治療として遺伝子改変T細胞が注目されている。申請者はこれまで各種マウスモデルと活性化した線維芽細胞を標的とした遺伝子改変T細胞を用いて、線維芽細胞を除去した際の腫瘍や肺線維症に及ぼす影響を明らかにした。本研究では、腺癌の間質形成・浸潤能獲得過程における線維芽細胞の関与を明らかにするとともに、肺の線維化における線維芽細胞除去作用と抗炎症・抗線維化作用を併せ持つ、新しい遺伝子改変T細胞を作成し、その臨床応用の基盤形成を目指す。
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研究実績の概要 |
肺腺癌切除症例の切除検体から、前癌病変であるatypical adenomatous hyperplasia (AAH)、非浸潤癌adenocarcinoma in situ (AIS)、微小浸潤癌minimally invasive adenocarcinoma (MIA)、浸潤癌を抽出し、それぞれの病変組織におけるFAPおよびαSMAなどについて免疫組織学的染色を行った。その結果を、画像解析ソフトを用いて定量的に解析した。病変周囲にある正常肺組織における染色結果との比較から、AAH以降の病変では、既存の肺胞構造におけるタンパク発現の変化(タンパク質の詳細については未発表)が見られ、その変化は浸潤癌になるにつれて増強していることが明らかとなった。この結果は、肺癌の発生から浸潤度を増していく過程に新たな知見を加えるものとして重要と考える。また、FAPを発現する領域についても、AAHからAISを経て、MIA・浸潤癌にかけて拡大していく傾向を認めたことから、早期肺癌が浸潤度を増す過程において、その間質細胞におけるFAP発現が間質の線維化に影響を与えている可能性が示されたものと考えている。 間質性肺炎・肺線維症を合併する肺癌の外科切除検体を用いて、MiRXES社のPremium700で組織中のmiRNA発現の網羅的解析を行った。間質性肺炎・肺線維症を有さない(概ね正常な肺組織を背景とする)肺癌の切除検体との比較で、miRNA発現の違いについて、現在詳細を解析中である。 CNP遺伝子を導入したFAP CAR-T細胞を作製し、その培養上清におけるCNP発現をELISA法にて確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請内容に準じて、初年度の進捗として上記「研究実績の概要」の通りの結果を得た。
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今後の研究の推進方策 |
肺腺癌切除症例の切除検体から、AAH、AIS、MIA、浸潤癌および正常肺組織での、既存の肺胞構造におけるタンパク発現の変化については、現在論文投稿中である。 間質性肺炎・肺線維症を合併する肺癌の外科切除検体を用いたmiRNA発現の網羅的解析では、正常肺とのmiRNA発現の違いについて、解析を進める。さらに、大阪大学呼吸器外科関連施設との多施設共同研究として、間質性肺炎急性増悪を来した症例の組織検体を集めて、FAPを含むタンパク発現について解析を進めていく予定である。 動物実験においては、CNP遺伝子を導入したFAP CAR-T細胞を用いて、計画したマウスモデルへの投与実験へ進む。
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