研究課題/領域番号 |
22K09022
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55050:麻酔科学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
岡田 卓也 神戸大学, 医学研究科, 助教 (70792935)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 2光子顕微鏡 / Caイメージング / 大脳皮質 / 全身麻酔薬 / 生体カルシウムイメージング / 全身麻酔 |
研究開始時の研究の概要 |
2光子励起顕微鏡による生体カルシウムイメージング法により、意識に関与する大脳皮質神経細胞およびシナプス集団における吸入麻酔薬や静脈麻酔薬投与による中枢神経系への作用メカニズムとその違いを明らかにする。本研究により、吸入麻酔薬や静脈麻酔薬の大脳皮質の興奮性および抑制性神経細胞への作用の違いなど、全身麻酔薬の中枢神経に対する作用メカニズムの一端が明らかになることが期待される。
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研究実績の概要 |
前年度に引き続き、各全身麻酔薬が大脳皮質神経細胞に与える影響を確認した。各全身麻酔薬の投与量は、呼吸数や心拍数などのバイタルサインや脳波のモニターおよび過去の報告からイソフルラン2%、プロポフォール150mg/kg(腹腔内)、ケタミン50mg/kg(腹腔内)を本研究での至適量とした。次に、上記の全身麻酔薬投与下に2光子顕微鏡で神経細胞の活動を観察し、その画像を解析した。当初の計画では、PV-CreマウスにAAV-Syn-GCaMP6fとAAV-CAG-FLEX-TdTomatoを投与することで興奮性ニューロンと抑制性(PV)ニューロンを同時に解析する予定であったが、興奮性ニューロンに比べPVニューロンの蛍光輝度が弱い影響で、解析の際に抑制性ニューロンの抽出が難しく、それぞれのニューロンを別々のマウスで可視化する方針に変更した。具体的には、①C57BL/6JマウスにAAV-CaMK2-GCaMP6fを投与し興奮性ニューロンを観察する、②C57BL/6JマウスにAAV-mDlx-GCaMP6fを投与し抑制性ニューロンを観察するという方針にした。そして、現在の解析の結果、いずれの麻酔薬も、興奮性および抑制性ニューロンの神経活動度(ΔF/F0)、発火頻度、各細胞間の活動相関性(Cosine Correlation)を抑制させる結果となった。また個々の神経細胞をよく観察すると、どの全身麻酔薬を投与しても活動が活性化する細胞が興奮性および抑制性ニューロンのそれぞれで少数認められることが、分かった。そして、ケタミン投与は他のイソフルランやプロポフォール投与に比べて活動が活性化する細胞の割合が有意に高いことが分かった。今後の課題は、大脳皮質に投射する神経回路操作を行うことで麻酔作用の再現を試み、麻酔薬の大脳皮質への作用メカニズムを検討することである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各全身麻酔薬が大脳皮質の個々の興奮性神経細胞や抑制性神経細胞に与える影響を検討する上で、各全身麻酔薬の投与量の検討および各神経細胞の可視化が順調に進展している。また、2光子顕微鏡でのCaイメージングを行う最中に各全身麻酔薬を投与し、その変化を捉えることができているので、本研究の課題はおおむね順調に進んでいると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、全身麻酔の作用メカニズムとして、視床皮質間の神経伝達が重要とこれまでの研究から考えられているため、視床皮質間の神経回路活動を化学遺伝学的手法により人為的に操作し、麻酔作用の再現を試みる予定である。
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