研究課題/領域番号 |
22K09027
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55050:麻酔科学関連
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
山口 剛 獨協医科大学, 医学部, 講師 (70323970)
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研究分担者 |
濱口 眞輔 獨協医科大学, 医学部, 教授 (60275758)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | A11 / ドパミン作動性神経細胞 / 疼痛関連分子 / エンケファリン / コレシストキニン / A11ドパミン細胞群 / ドパミン下行性疼痛抑制系 / 痛みの性差 |
研究開始時の研究の概要 |
偏頭痛や慢性疼痛などの症状は男性よりも女性で頻度が高く、長引きやすい。痛みの感じ方や鎮痛薬の効果に性差があることは知られているが、痛みに性差が生じるメカニズムは明らかになっていない。本研究では視床下部背側部(A11領域)の性ホルモン受容体発現細胞による疼痛調節機構の解明を目指す。さらに異なる性別・週令の疼痛モデル動物間での疼痛調節機構の差違を明らかにすることによって年齢・性別に応じた効果的な疼痛治療の確立を目指す。
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研究実績の概要 |
偏頭痛や慢性疼痛などの症状は男性よりも女性で頻度が高く、長引きやすい。痛みの感じ方や鎮痛の効果に性差があることは知られているが、痛みに性差を生じさせるメカニズムは明らかになっていない。視床下部背側部A11領域はドパミン作動性神経細胞が豊富な領域で第3の下行性疼痛抑制系と考えられている。研究代表者はA11領域が多様な神経細胞から構成されていること、A11神経細胞の一部は性ホルモン受容体を発現していること、を明らかにしてきた。これらの知見をもとに本研究ではA11領域の性ホルモン発現細胞による疼痛調節機構の解明を目指す。 この目的を達成するために1)疼痛関連分子のA11領域内分布を同定、2)A11領域内性ホルモン発現細胞が関与する神経疼痛モデル動物の選別、3)選択的標的神経細胞破壊によるA11領域各神経細胞の疼痛調節における役割の同定を行う。初年度は1)の疼痛関連分子の免疫組織化学解析、2)の前段階となるc-Fos抗体による免疫組織染色の条件検討、3)の前段階となる脳内微量薬物注入装置のセットアップを行った。 免疫組織染色法で疼痛関連分子のA11領域内分布を調べた結果、エンケファリン陽性神経線維やコレシストキニン陽性神経線維がA11領域の尾側に豊富に存在することが明らかとなった。A11領域内のこれら陽性神経線維の分布は他のドパミン作動性神経細胞が豊富な領域(A10、A8)や疼痛抑制に関連した脳領域(中心灰白質、延髄吻側腹外側部)と比較しても顕著でA11領域の疼痛抑制系における役割・調節機構を考える上で重要な結果が得られた。c-Fos抗体による免疫組織染色では、これまで使っていたc-Fos抗体が販売中止となったため代替品の濃度検討を行い、脳内微量薬物注入装置のセットアップでは薬物の代わりに神経回路トレーサーを使い、脳内微量注入が問題なくできることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
免疫組織染色法を用いたA11領域の組織構造解析、選択的標的神経細胞破壊実験に使う機器のセットアップは、おおむね順調に進んでいる。疼痛関連分子の一つである一酸化窒素合成酵素のA11領域内分布を調べた結果、A11領域の組織構造はA8領域とは大きく異なることが明らかとなり、この研究成果をまとめた論文はDokkyo Medical Journalに受理されている。in situハイブリダイゼーション法を用いた性ホルモン受容体発現分布の同定では、RNAscopeの試薬・機器が非常に高額で代替法の条件検討を行っているため、やや遅れている。c-Fosの発現量を神経活動の指標としてA11領域が関わるモデル動物の選定を行う予定で、c-Fos抗体による免疫染色の条件検討は順調に進んでいる。しかしながら、十分な人員を確保できていないためにモデル動物の作成に遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度はA11領域の組織構造解析を継続すると共に、A11領域内c-Fos発現量増加を指標にして『A11領域が関わる疼痛刺激』の選別に着手する。実験動物にテイル・フリック試験装置、ホット・プレート試験装置などを使って痛みの行動解析を行い、灌流固定後、脳切片を作製してc-Fos免疫染色を行う。A11領域でc-Fos発現量が増加する疼痛刺激の選別、二重染色法で性ホルモン受容体発現細胞でのc-Fos発現量の変化を検討する。選択的標的神経細胞破壊実験については薬物の脳内微量注入を行い、選択的神経細胞破壊実験の条件検討を進める予定である。
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