研究課題/領域番号 |
22K09033
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55050:麻酔科学関連
|
研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
多田羅 恒雄 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (30207039)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | ヒアルロン酸 / 細胞間質 / ヒドロキシエチルスターチ / 炎症 / ヒドロキシエチルデンプン |
研究開始時の研究の概要 |
敗血症などの重症患者では、炎症反応をいかにコントロールするかが非常に重要である。申請者は、広く臨床使用されているヒドロキシエチルデンプン製剤に注目し、同製剤が、細胞間質のヒアルロン酸などのゲル状構造物に物理的に作用することにより細胞間質における過剰な炎症反応を抑制すると考えた。本研究は、この可能性を手術患者において調べることにより、同製剤の臨床使用に新たな活路を見いだす。
|
研究実績の概要 |
<背景と目的> 炎症時には、毛細血管の透過性が亢進するため、血管内に投与されたヒドロキシエチルデンプン(HES)は細胞間質に漏出する。このHESが、細胞間質を構成するヒアルロン酸の移動を促進する可能性を検討するため、モデル系を用いて、HESがヒアルロン酸のconvection flowにおよぼす影響を調べた。 <方法> 透析セルにFITCによりラベルされたヒアルロン酸(FHA)溶液0.5 mLを留置し、そこに0.9% NaCl溶液または0.5%, 1%, 2% HES(平均分子量130,000)溶液を20 μL/minの速度で6時間注入した。この間に透析セルから排出されるFHAの量をUV法により測定した。最初に透析セルに留置されたFHA量に対するFHA総排出量(排出率)を算出し、統計学的手法を用いて注入した溶液間(0.9% NaCl溶液または0.5%, 1%, 2% HES)の比較を行った。 <結果と考察> FHA排出率(mean±SD, n=5)は、0.42±0.04(0.9% NaCl)、0.94±0.05(0.5% HES)、0.68±0.14(1% HES)、0.64±0.21(2% HES)であり、0.5% HESは、0.9% NaClにくらべて有意に高い排出率を示した(p <0.001)。本結果は、HESがヒアルロン酸との結合を増強させる結果、convection flowにおけるヒアルロン酸に対する抗力(drag)が増加することによると考えられた。細胞間質内のヒアルロン酸は、常に間質液の流れにさらされているため、HESは、細胞間質内のヒアルロン酸の流出を増加させる可能性がある。これに基づくと、HESが、炎症時にヒアルロン酸が増加することにより細胞間質に水が貯留すること(炎症性浮腫)を軽減させることが期待される。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒドロキシエチルデンプンが、細胞間質を構成するヒアルロン酸の構造におよぼす影響を調べることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
ヒドロキシエチルデンプンが細胞間質を構成するヒアルロン酸の構造におよぼす影響が、敗血症などの高度炎症下の重症患者管理においてどのような意義を有するかを検討する。
|