研究課題/領域番号 |
22K09062
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55050:麻酔科学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
長谷 由理 北海道大学, 大学病院, 助教 (20626121)
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研究分担者 |
舩橋 誠 北海道大学, 歯学研究院, 教授 (80221555)
長谷部 晃 北海道大学, 歯学研究院, 教授 (90281815)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 全身麻酔薬 / 作用機序 / 脂質ラフト / バイオイメージング / パッチクランプ法 / ATPase |
研究開始時の研究の概要 |
近年、全身麻酔薬の作用の場は生体膜の一部を構成する脂質ラフトと考える説が登場し、研究が進められている。研究がさらに進むとリピド説とタンパク説が融合され、全身麻酔薬の作用機序が統一されると考えるに至った。 本研究では、バイオイメージング技術により生細胞の脂質ラフトに対する全身麻酔薬の影響を可視化して解析し、パッチクランプ法により、全身麻酔薬の脂質ラフトに対する作用によりニューロンの興奮性が調節されることを明らかにする。また、脂質ラフトに存在するNa,K-ATPaseやCa,Mg-ATPaseに対する全身麻酔薬の作用を比較し、脂質の重要性について検討する。
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研究実績の概要 |
全身麻酔薬の作用の場が脂質ラフトであると仮定し、全身麻酔薬による脂質ラフトの流動性や構造の変化があることを生細胞で可視化することを目標に、研究を進めた。 バイオイメージングの専門家の指導・協力を得て、CHO-K1のGPI-HT安定発現株の培養を開始した。2023年7月に大阪大学で開催された第34回細胞生物学ワークショップに参加し、顕微鏡の基礎からイメージングまでの研修を受けた。 8月から北海道大学ニコンイメージングセンターにて、共焦点レーザー顕微鏡の観察技術を学び、光褪色後蛍光回復法(FRAP)法の基礎的な観察訓練を行った。また、文部科学省・科学研究費助成事業の先端バイオイメージング支援プラットフォーム(ABiS)への申請が採択され、研究支援を受けることができた。 2024年1月から、実際に生細胞に麻酔薬を作用させて、FRAP法にて観察をおこなったところ、プロポフォールにより脂質の流動性が上昇することが示唆される結果が得られた。現在、共同研究者・研究協力者と結果の詳細な解析を進めているところである。 脂質ラフトに存在する酵素であるNa,K-ATPase及びCa,Mg-ATPase活性に対するプロポフォールの作用に関する研究を行い、「Neuro-2a細胞のATPase活性に対するpropofolの作用」として、第51回日本歯科麻酔学会学術集会(長崎)においてポスター発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
医局の新体制のもと臨床業務に従事する時間が長く、研究時間の確保が困難であった。年度の後半には、ニコンイメージングセンターにおける研究を進展させることができたが、予定より進行は遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
イメージングを行うための準備と実際の観察までを行ったため、データの解析処理を進める。これを第一歩として、異なる条件の下での観察や、各種麻酔薬による生細胞への影響を検討すること、またFRAP法を今後の研究の一つの手法として応用していきたい。 イメージングの研究を進めながら、共同研究者との電気生理学的手法による全身麻酔薬の作用機序研究を開始する。 また、これまで継続して行ってきた脂質ラフトに存在するATPase、特にNa,K-ATPaseとCa,Mg-ATPase活性に対する麻酔薬の作用について検討を進める。さらに、培養細胞の増殖・生存に対する麻酔薬の作用も定量的に解析する予定である。
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