研究課題/領域番号 |
22K09077
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55050:麻酔科学関連
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
青木 優祐 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (50857208)
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研究分担者 |
志田 恭子 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 臨床研究医 (00381880)
大澤 匡弘 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 准教授 (80369173)
祖父江 和哉 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (90264738)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 慢性疼痛 / 海馬歯状回 / 神経細胞の新生低下 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、疼痛の遷延化が海馬歯状回の神経新生低下によることを明らかにするため、これらの変化を引き起こす神経回路を同定する。痛み刺激により活性化する神経細胞にデザイナー受容体(DREADD)を発現させて活性を調節することで、目的の脳領域の痛みで活性化した神経回路内の細胞を活性または抑制できる。この方法で各種脳領域の神経細胞の活性を調節し、海馬歯状回の神経細胞新生の低下や痛み閾値の変化を確認し、目的の脳領域を特定する。本研究により、外側腕傍核から海馬歯状回へ疼痛の情報を伝える神経回路が明らかになり、神経新生低下と疼痛遷延化を認められれば、慢性疼痛の新規治療法の開発につながる可能性がある。
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研究実績の概要 |
本研究では、疼痛の遷延化が海馬歯状回の神経新生の低下によることを明らかにすることを最終目的とし、その変化を引き起こす神経回路を同定することを目的としている。本年度は、痛みにより活性化する神経回路を特異的に調節するマウスの作製を行った。特異的調節では、痛みを伝える神経回路へ、デザイナー受容体(DREADD)であるhM3DqならびにhM4Diをシナプシンプロモーターの制御により神経細胞へ発現するアデノ随伴ウイルスベクター(AAV)を、末梢からの痛みの入力点である脊髄後角へ微量注入することで作製を試みた。まず、神経細胞特異的に蛍光タンパク質であるEGFPを発現するAAV(AAVDJ-hSyn-EGFP)を脊髄後角へ微量注入し、その8週間後に脳を取り出し、蛍光タンパク質の発現を観察した。その結果、外側腕傍核(LPb)ならびに外側視床(VPL)に緑色蛍光が認められた。次に、興奮性DREADDであるhM3Dqを発現するAAV(AAVDJ-hSyn-hM3Dq-mCherry)を脊髄後角へ微量注入し8週間後に、hM3Dqの特異的リガンドであるクロザピンN-オキシド(CNO)をLPbならびにVPLへそれぞれ投与すると、一過性の痛覚過敏が認められた。また、CNOを14日間連続してオスモティックミニポンプを用いてLPbならびにVPLへ投与すると、痛み閾値の持続的な低下が認められ、CNOの投与を中止しても、LPbへCNOを処置した群では痛み閾値の低下が持続したものの、VPLへCNOを投与した群では痛み閾値が回復した。これらのことから、痛みの慢性化に対しては、脊髄後角からLPbへ投射する神経が重要であることがわかった。また、神経障害性疼痛モデル(Spared nerve injury モデル)では、海馬歯状回における神経新生が低下していることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書で計画した内容に沿って、問題なく進行しており、研究計画は順調に進展している。結果についても、脊髄後角から上位中枢へ投射する神経系のうち、痛みの遷延化を引き起こす神経回路を同定できたことは大きな進歩である。また、神経障害性疼痛モデルにおいても過去の報告と同様に、海馬歯状回において神経新生の低下が認められたことから、来年度の研究計画を実施することが可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
デザイナー受容体を発現させ、持続的に活性化した際に、痛み閾値の低下が持続した2領域(LPbおよびVPL)について、神経障害性疼痛モデル動物の海馬歯状回における神経新生低下への関与を検討する。その際に、神経新生のどの過程が影響を受けているかを明らかにするため、各種神経新生マーカータンパク質を用いて解析をおこなう。これにより、痛みを遷延化する神経回路が海馬神経新生に対して影響を与えることができるのか、神経新生の改善が慢性疼痛を緩和できるかという本研究の計画の核心をなす学術的「問い」に対する解答を明確にする。
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