研究課題/領域番号 |
22K09081
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55050:麻酔科学関連
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
里元 麻衣子 東邦大学, 医学部, 准教授 (10611551)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | せん妄 / 治療 / 予測 / 神経ステロイド |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は術後せん妄の発症の重要な病態機序である脳内炎症に着目し、脳内炎症を抑制することでせん妄発症の予防が可能であるという仮説の検証を行う。さらに脳内炎症抑制薬として近年注目されている神経ステロイドをせん妄治療薬として新たに確立することを目的とする。人生100年時代と言われ、手術や入院臥床を契機に、高齢者はせん妄を発症することが多い。申請者は術後せん妄を生理学的指標で予測できるという仮説を立て、手術前の心拍揺らぎからせん妄予測ができることを明らかにした。本研究がせん妄の病態の解明につながり、せん妄による患者の苦痛を大きく減じるとともに、医療経済にも極めて有用であると考る。
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研究実績の概要 |
世界の先進諸国が高齢化社会を迎え、健康な長寿社会の実現を目指している一方、外科手術や入院臥床を契機に高齢者のせん妄が高頻度で起きている。高齢者の認知機能低下にはせん妄が大きくかかわっており、せん妄と呼ばれる混乱した状態は、治療に非協力的かつ攻撃的な言動と結びついて、患者自身の生命をも脅かすほか、ひとたびせん妄を生じた患者は無事に退院した後も活動性の低下、認知機能低下、死亡率の上昇など予後不良の転帰を辿ることが近年の疫学調査で明らかとなってきた。 せん妄に対する治療薬として著明な有効性が確立されているものは少ない。せん妄は術後患者の20-50%に起こるといわれ、かつ画期的な治療薬もないまま、環境改善や対症療法を行っている現状である。 本年度、研究代表者は術前の心拍揺らぎから術後せん妄予測ができることを明らかにし、その検討を国際医学雑誌に投稿し受理された。国内では術後せん妄のメカニズムや展望について日本麻酔科学会の高齢者の術後神経障害というsymposiumで発表をし国内外において評価を得てきた。 画期的なせん妄治療薬の開発は現時点でまだ検討事項であるが、せん妄になりやすい患者を手術前にセレクションすることが生理学的指標を用いた解析により可能になっている。この発見と従来言われているせん妄の準備因子(年齢や認知量の程度など)から、限りある医療資源をどこに重点的に配備するかについてとても示唆に富んだ重要な研究ができている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画通りに進行している
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今後の研究の推進方策 |
今後について、これまで同様術後せん妄について、国内外から広く情報収集し、研究協力者と連絡を取り合いながら、術後せん妄を治療できる画期的な治療薬の検討を進める。 近年、高齢者における概日リズム障害がせん妄にかかわることからヒントを得て、一つは体温リズムや概日リズム障害の程度を治療者が理解しやすい指標を定められるか否かの検討を行うことである。生体モニターや生理活性物質など数値により程度が示されればより治療者は介入しやすい。もう一つはメラトニンの分泌に着目した光療法の試みについて検討を行うことである。文献でも効果があるものないものに分かれており、より深い検討を行ったのち、計画を実行に移したいと考えている。
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