研究課題/領域番号 |
22K09083
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55050:麻酔科学関連
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研究機関 | 朝日大学 |
研究代表者 |
神谷 真子 朝日大学, 経営学部, 教授 (80181907)
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研究分担者 |
近藤 信夫 朝日大学, 歯学部, 教授 (40202072)
智原 栄一 明治国際医療大学, 保健医療学部, 教授 (80244581)
村松 泰徳 朝日大学, 歯学部, 教授 (30247556)
高山 英次 朝日大学, 歯学部, 准教授 (70533446)
川木 晴美 朝日大学, 歯学部, 教授 (70513670)
梅村 直己 朝日大学, 歯学部, 講師 (80609107)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | ミダゾラム / IL-10 / IFN-γ / IL-2 / ベンゾジアゼピン受容体 / 癌関連線維芽細胞 / デキスメデトミジン / がん関連線維芽細胞 / 間質細胞 / 癌微小環境 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、術後のがん転移や再発に対する鎮静・麻酔薬のリスクを、がん関連線維芽細胞(CAF)を中心とした腫瘍組織内ネットワークに与える作用という観点から検討する。 具体的には、試験管内共培養系を用いて、サイトカインレベルで [がん細胞]‐[CAF]‐[リンパ球]の相互作用におよぼす鎮静・麻酔薬の効果を詳細に解析し、その影響を受ける因子を特定する。さらに担がん動物モデルを用いて、腫瘍組織や末梢血に分布するそれら因子の動態を麻酔処置下で明らかにし、予後との相関を比較して鎮静・麻酔薬のリスク評価を行う。
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研究実績の概要 |
本研究は、がん―免疫細胞―がん関連線維芽細胞(CAF)の細胞間ネットワークにおける鎮静・麻酔薬の作用を明らかにすることを目的としている。初年度では鎮静麻酔薬の一種であるミダゾラムが、マウス脾細胞への直接効果としてIL-10産生能特異的な阻害効果に加えてIL-2をも抑制することを明らかにした。次年度は、ミダゾラムに加えてα2作動性鎮静薬であるデキスメデトミジン、抗腫瘍効果を持つとされるプロポリスの主要成分(カフェイン酸フェネチルエステル、CAPE)も検討対象に加え、これら薬剤のマウス脾細胞の免疫応答に与える効果を観察するとともに、ミダゾラムの作用に対しては受容体拮抗薬の影響を観察し以下の結果を得た。 1)α2作動性鎮静薬であるデキスメデトミジンは、0.3~5000nMの広濃度域において、刺激脾細胞のサイトカイン(IL-2、IL-10、IFN-γ)産生にほとんど影響を与えなかった。一方、CAPEはミダゾラムとは逆に脾細胞のIL-2、IL-10産生能を増強した。 2)中枢型ベンゾジアゼピン受容体(BDZR)拮抗薬であるフルマゼニルは、ミダゾラムのIL-10およびIL-2産生抑制効果を解消せず、フルマゼニル自体も何ら影響を与えなかった。 3) 2種類の末梢型BDZRリガンド(PK11195およびRo5-4864)も、ミダゾラムのIL-10およびIL-2産生抑制効果を解消しなかったが、ミダゾラムの有無にかかわらず、薬剤単独で刺激脾細胞からのIL-10,IL-2およびIFN-産生を抑制した。 以上の結果から、ミダゾラムによるIL-2およびI-10産抑制効果は、他の鎮静薬などとは異なる特異な効果ではあるが、その作用は既知のBZPRを介すものではないことが明らかとなった。さらにこれとは別に脾細胞のIL-2およびIL-10産生の調節には、末梢型BZPRが関与する経路が存在す可能性が指摘できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ミダゾラムの免疫担当細胞に与える効果に関しては、関連する受容体の検索など着実に進行している。その一方、初年度にフリーザーの故障等のためやり直しとなったCAFの樹立が現時点でもうまく進まず、その結果CAFに代表される間質細胞への影響とその作用機序についての検討が、遅れたままである。
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今後の研究の推進方策 |
ミダゾラムの免疫担当細胞およびがん細胞への影響については、関与する受容体、細胞内伝達系の検討など、当初の計画に従ってさらに進める。一方、担癌マウスからのCAFの樹立は引き続き試みるが、それと並行して、10T1/2など市販で入手できる間質細胞系の培養細胞をCAFモデルとして用い、がん―免疫細胞―がん関連線維芽細胞(CAF)混合培養系中での効果などの検討を進めていく。
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