研究課題/領域番号 |
22K09087
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55050:麻酔科学関連
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研究機関 | 香川大学 (2023) 群馬大学 (2022) |
研究代表者 |
荻野 祐一 香川大学, 医学部, 教授 (20420094)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 脳 / 可塑性 / 適応性 / 慢性痛 / 特発性 / 歯痛 / 痛覚変調性疼痛 / 持続性特発性歯痛 / PIDAP / 脳科学 / 第一次体性感覚野 / 非器質的疼痛 / 非定型歯痛 / MRI / 脳構造 / 脳機能 |
研究開始時の研究の概要 |
非器質的疼痛とは、痛みを説明できるだけの客観的な器質的原因が明らかでない痛みを言う。非定型歯痛(Atypical Odontalgia, 以下AOと略す)は、典型的な非器質的疼痛疾患である。AO患者と健康被験者を対象に、頭部の磁気共鳴画像(MRI)を取得し、AO患者群に特異的な脳構造と治療前後の脳機能ネットワーク変化の調査を実施し、仮説「抗うつ薬による治療前後で前頭葉と辺縁系を結ぶ機能的ネットワークが増加する」を検証する。本申請研究の目的は、1)AO治癒過程における脳構造・機能ネットワーク変化を明らかにすることにより、2)非器質的疼痛の病態解明へ帰納、考察することである。
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研究実績の概要 |
これまで申請者を中心に脳画像解析研究を実施してきたチームを継続し、倫理性の担保と被験者の安全性確保のために、臨床試験審査委員会 (倫理委員会) の審査を通過後、UMIN登録 (UMIN000047476) と臨床研究賠償責任保険加入 (証券番号: NF07921991) により、データを集積し解析を実施し、日本ペインクリニック学会第57回学術集会 一般演題(優秀演題)3 [研究2]2023年7月14日(金)10:20~11:20 SAGAアリーナ【E3-4】特発性歯痛における第一次体性感覚野(口腔顔面領域)の萎縮、として学会発表を行った。内容は、痛覚変調性疼痛の代表的疾患である特発性口腔顔面痛患者24名と、年齢性別をマッチングさせた健康被験者25名の脳解剖画像と脳機能画像を解析した。その結果、第一次体性感覚野(S1)の口腔顔面領域に相当する部位の体積縮小を患者群で示した。さらに、そのS1の体積減少は心理的アンケートであるHADS (Hospital anxiety and depression score)(臨床で用いる不安とうつスコア)とPCS (Pain catastrophizing score)(痛みのこだわりスコア)の2つのスコアと負の相関を示した。つまり、痛覚変調性疼痛の特徴とも言える心理的側面の悪化とS1の体積変化が関係あることが分かった。この結果を現在論文として公表すべく執筆中である。残念ながら縦断的な結果(治療後と治療前)の時間的変化は見られなかったのだが、この結果については、健康被験者群においてのみ1度しか脳MRI画像を取得せず、健康被験者の時間効果(時間経過の変化、老化効果)を考慮しなかった研究方法に問題があると考えた。従って、この欠点を補うべく、新たに「前研究「口腔顔面領域における非定型痛みの脳画 像解析による縦断的観察研究」(2017年7月1日-2 021年7月31日)における、健康被験者の追加研究」(UMIN000047476)として公開しデータ取得を終了した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
健康被験者群においてのみ一度しか脳MRI画像を取得せず、健康被験者の時間効果(時間経過の変化、老化効果)を考慮しなかった研究方法に問題があると考えた。従って、この欠点を補うべく、新たに「前研究「口腔顔面領域における非定型痛みの脳画 像解析による縦断的観察研究」(2017年7月1日-2021年7月31日)における、健康被験者の追加研究」(UMIN000047476)として公開し、データ取得を終了した。このデータを解析する段階にあるが、これまでの結果を元に様々な機会で講演を実施した。2023年6月1日(木) 学術委員会 シンポジウムTS01 学会賞記念講演(山村記念賞受賞講演)脳画像解析を用いた神経plasticity研究、日本麻酔科学会 第70回学術集会(2023年6月2日(金) 13:30-14:30 第3会場 神戸ポートピアホテル南館)招請講演 痛みの心理学、(招待講演)配信会場:東京先進整形外科)講演日時:令和5年8月11日(金) 「痛みの心理学:痛覚変調性疼痛と針刺し禁忌症例について」、先進運動器エコーフォーラム2023「超音波診療の最終ステージ:痛覚変調性疼痛に挑む」Web配信(配信会場:東京先進整形外科)2023年9月3日(日)「脳科学が明らかにした臨床医学のウソと本当」等の講演を実施し2021年に出来たばかりの「痛覚変調性疼痛」という概念の普及に努めている。
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今後の研究の推進方策 |
特発性歯痛の病態は、末梢性の要因より中枢性の機序が大きいとされ、実際、三環系抗うつ薬が奏効することも、その機序が中枢性である説を裏付けている。特発性歯痛は、非定型顔面痛、口腔灼熱症候群とも共通する特徴が多いことから、障害程度と部位が違うだけで、同じ神経可塑性疼痛スペクトラム上にあるのではないかと提唱される。静岡市立清水病院のMRI脳画像data取得においては、1.5 Tesla MRI scanner (endeavor, Phillips) を用いて、放射線技術科の理解と協力を得ながら撮影を行ない、UMIN登録 (UMIN000047476) (UMIN000047476)を終了し、データの集積を終えた。本研究において我々は、仮説「抗うつ薬による治療前後で前頭葉と辺縁系を結ぶ機能的ネットワークが増加する」を検証する。この前頭葉と辺縁系を結ぶ機能的ネットワーク増加が、人間の感情処理において抑制的制御を表象しているとされていて (Dichter et al. 2016)、仮説が正ならば「“痛みを過剰かつ過敏に認知するようになってしまった病態”が、治療により抑制的制御されていること」を示唆できる。本研究においては、各種のアンケート (VAS、PCS [Pain Catastrophizing Scale]: 痛みの破局化思考スケール、HAD尺度 [うつスケール]など) を被験者から取得するので、特発性歯痛患者の治療前後における主観的スケールと脳画像との相関解析を施行し、特発性歯痛患者の実際の症状と脳画像 (客観的所見) との相関関係までを明らかにして、特発性歯痛治療における客観的確証とすることを目標としているので、(UMIN000047476) (UMIN000047476)のデータ解析ではこれらの相関解析を推進していく方策である。
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