研究課題/領域番号 |
22K09096
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55050:麻酔科学関連
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
松本 美志也 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (60243664)
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研究分担者 |
山下 敦生 山口大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (50379971)
水上 洋一 山口大学, 大学研究推進機構, 教授 (80274158)
若松 弘也 山口大学, 医学部附属病院, 准教授 (80379966)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 脊髄虚血 / リラグルチド / インスリン / 家兎 / Glucagon-like peptide 1 |
研究開始時の研究の概要 |
対麻痺は胸腹部大動脈手術の重篤な合併症の一つであり、大動脈遮断中の脊髄虚血のために起こると考えられている。しかし、いまだに有効な脊髄保護法がない。本研究では、臨床使用量に近いリラグルチドとインスリンの併用が直接的には神経細胞内のphosphoinositide 3-kinase(PI3K)を活性化し、それによりAkt2が活性化されることにより脊髄保護効果を発揮できるか、また、血糖値が間接的に上記の脊髄保護効果にどのような影響を与えるかを明らかにしたい。家兎一過性脊髄虚血モデルを用いたoutcome studyと、PI3KとAkt2の活性化を遺伝子発現とリン酸化の点から検討する予定である。
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研究実績の概要 |
昨年、リラグルチド(L)と共通のシグナル伝達経路を有するインスリン(I)を併用することにより、より少量のLに脊髄保護効果があるか検討したが、保護効果は見られなかった。今回、Lの投与を30分早め、Iの投与は静注から皮下注に変更し60分早めて検討した。 家兎を L群、I群、L+I群、Control (C) 群(各n=6 )に分けた。全身麻酔導入後、それぞれL 100 μg/kg、I 0.1 U/kg、L 100 μg/kg + I 0.1 U/kg、生理食塩水を虚血2時間前に皮下注した。左腎動脈直下の大動脈を15 分間遮断した。虚血前60分、30分、直前、虚血後30分に血糖を測定した。再灌流後 7 日間後肢運動機能を 5 段階で評価した(4:正常、3:跳躍できるが正常ではない、2:後肢はよく動くが跳躍できない、1:後肢がわずかに動く、0:後肢の完全麻痺)。その後、HE 染色により腰部脊髄膨大部腹側の正常神経細胞数を計測した。虚血直前の血糖値に関しては一元配置分散分析を行い、post-hoc検定としてBonferroni多重比較検定を行った。運動機能、細胞数に関してKruskal-Wallis検定を行った。P < 0.05 で有意とした。 虚血直前の血糖値はL群、I群、L+I群、C群で、それぞれ118±6、109±24、96±24、140±16 mg/dL(平均値±SD)で、L+I群がC群に比較して有意に低値であった。再灌流7日後の後肢運動機能と正常神経細胞数は4群間で有意差はなかった。 LとIの投与を変更したが、保護効果は見られなかった。LとIはそれぞれの受容体の下流にあるphosphoinositide3-kinaseを活性化し、さらにその下流のAktを活性化することで神経保護効果を相加的に増加させると期待されたが、その相加的効果は見られなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
リラグルチドとインスリンの併用による脊髄保護効果に関して、前年度と投与量は同じであるが、投与条件を変更してoutcome studyを行うことができた。結果はnegativeであったが、最終年度の研究への貴重なデータとなった。
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今後の研究の推進方策 |
リラグルチドとインスリンの併用による脊髄保護効果には限界がある可能性があるので、最終年度はリラグルチドと同じ経路を活性化する可能性のあるインスリン様成長因子との併用を検討する予定である。
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