研究課題/領域番号 |
22K09099
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55050:麻酔科学関連
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
澤田 敦史 札幌医科大学, 医学部, 講師 (10551492)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 妊娠鎮痛 / 前帯状皮質 / δオピオイド受容体 / オピオイド受容体 |
研究開始時の研究の概要 |
雄マウスを用いた神経障害性疼痛モデルの前帯状皮質の神経細胞に形質導入を行い,δオピオイド受容体の発現を増加することで神経障害性疼痛が改善することを明らかにする.これにより神経障害性疼痛に対して,既存の治療法とは全く異なる妊娠鎮痛の機序を介した新規治療戦略を提案する.
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研究実績の概要 |
妊娠を契機に神経障害性疼痛患者の痛みが和らぐ事象が報告されており,妊娠鎮痛と呼ばれている.前帯状皮質は中枢神経における痛み伝導路の一部を形成し,慢性疼痛の病態形成に深く関わっている.また,妊娠鎮痛には脊髄後根神経節のδオピオイド受容体の発現増加が関与することが報告されている.これまでの研究において,我々は妊娠雌マウスの前帯状皮質におけるδオピオイド受容体の発現増加が妊娠鎮痛の形成機序に関わることを明らかにした.この知見を基に今回,我々は非妊娠雌マウスの前帯状皮質へのδオピオイド受容体アゴニスト(KNT-127)の投与が神経障害性疼痛を緩和すると仮説を立てて検証した. 【方法】非妊娠雌マウスを用いて神経障害性疼痛モデル(Seltzerモデル)を作製し,前帯状皮質にδオピオイド受容体アゴニスト(KNT-127)または生理食塩水を投与し,患側肢の触刺激に対する逃避行動の閾値を測定した(n=8/各群).統計処理はrepeated-measures ANOVA with Tukey’s testを用いて,p<0.05を有意とした. 【結果】前帯状皮質に生理食塩水を投与した非妊娠雌マウスと比較して,δオピオイド受容体アゴニスト(KNT-127)を投与した非妊娠雌マウスにおいて,触刺激に対する逃避行動の閾値が有意に増加し神経障害性疼痛の緩和がみられた(p<0.001). 【結語】本研究の結果から,前帯状皮質におけるδオピオイド受容体の活性化は神経障害性疼痛を緩和することが示唆された. 上記知見を基に,δオピオイド受容体の遺伝子を搭載したウイルスベクターを購入し,非妊娠雌マウスを用いた神経障害性疼痛モデルマウスの前帯状皮質にウイルスベクターの投与を行った.2024年度はウイルスベクターを投与した非妊娠雌-神経障害性疼痛モデルマウスの行動学的解析と前帯状皮質の免疫組織学的解析,分子学的解析を行う予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請者はこれまでに前帯状皮質のδオピオイド受容体の活性化が神経障害性疼痛を緩和することを明らかにした.現在,δオピオイド受容体の遺伝子を搭載したウイルスベクターを使用可能な状況であり,このウイルスベクターを用いてδオピオイド受容体の遺伝子を前帯状皮質の神経細胞に形質導入することで,前帯状皮質のδオピオイド受容体を介した神経障害性疼痛の新規治療基盤を確立することが可能であると考える.
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今後の研究の推進方策 |
δオピオイド受容体の遺伝子を搭載したウイルスベクターを用いて,非妊娠雌-神経障害性疼痛モデルマウスの前帯状皮質の神経細胞に形質導入を行い,前帯状皮質のδオピオイド受容体の発現増加が神経障害性疼痛を緩和するかどうかを検討する予定である.
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