研究課題/領域番号 |
22K09101
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55050:麻酔科学関連
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
末盛 智彦 自治医科大学, 医学部, 准教授 (10509441)
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研究分担者 |
竹内 護 自治医科大学, 医学部, 教授 (60284113)
多賀 直行 自治医科大学, 医学部, 准教授 (20346456)
永野 達也 自治医科大学, 医学部, 助教 (00534158)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 先天性心疾患 / 肺体血流比 / NIRS / 近赤外線時間分解分光法 / 単心室 / モニタリング |
研究開始時の研究の概要 |
先天性心疾患の一部には肺循環と体循環の間に交通があるため肺・体循環のバランス異常を生じ、循環動態の悪化を来す疾患がある。このような疾患の循環管理には肺・体循環バランスを適切に評価し制御することが重要であるが、ベッドサイドで肺・体循環バランスを評価する方法は確立されていないため麻酔、集中治療管理中の循環管理に難渋することが多い。本研究では、近赤外線を用いて肺組織、体組織のヘモグロビン濃度を測定することにより、ベッドサイドで非侵襲的かつリアルタイムに肺・体循環バランスを評価する方法の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究の実施計画は3段階で構成されているが、第1段階の「安定してTD-NIRSを測定するための方法確立」については、センサーを前額部と側胸部に固定する方法を改良することにより安定した測定実績が得られているため目標を達成できたものと考えている。研究の第2段階は「患者の静的状態を評価する方法としてのTD-NIRSの有用性を検討」することを目標としているが、これまでに先天性心疾患患者75名の測定を行っており、病型(肺血流減少型、正常型、肺血流増加型)ごとの肺組織/体組織ヘモグロビン濃度比率の違いについて解析を始めている。途中解析ではあるが、肺血流増加型(肺動脈絞扼手術患者)の先天性心疾患患者20名は、肺組織/体組織ヘモグロビン濃度比率が1.5-2と他の病型に比べて高値であり、研究仮説通りに肺組織/体組織ヘモグロビン濃度比率が患者の静的な肺体血流バランス状態を反映しているものと考えている。しかしながら、研究を進める過程で、本研究で使用するTD-NIRS機器(tNIRS-1)で測定した脳組織酸素飽和度測定値は従来より当科で使用していたCW-NIRS機器(INVOS5100C)による測定値よりも低い傾向にあることが分かり、このままTD-NIRSを用いた臨床研究を継続することへの安全上の懸念が生じた。そのため両機種における脳組織酸素飽和度測定値の比較検討を行い、その結果については学会、論文での発表準備を進めている。研究の第3段階は「患者の動的状態を評価する方法としてのTD-NIRSの有用性検討」することが目標であるが、当院手術室の電子麻酔記録に患者の循環指標(血圧、心拍数、動静脈血酸素飽和度など)とTD-NIRS測定値を同時に取り込むシステムを構築することが出来た。これにより手術中のTD-NIRS測定値と患者の動的状態の関連性を調べるためのデータを蓄積している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究概要に記載したように、研究の過程で本研究に使用するTD-NIRS機器(tNIRS-1)と従来のCW-NIRS機器で測定した脳組織酸素飽和度測定値の間に予想以上の乖離があることが分かったため、TD-NIRS機器の製造元に機器点検と調整を依頼した。機器調整により両機種の脳組織酸素飽和度測定値差は縮まったものの、調整前後でTD-NIRSで測定した肺、脳組織ヘモグロビン濃度測定値にも変化が生じデータの一貫性が失われてしまった可能性がある。現在、組織ヘモグロビン濃度測定値への影響を調べているが、影響が大きいと判断される場合には機器調整後から新しくデータ収集を開始しなくてはならないため当初の想定よりもデータ収集に遅れが生じる可能性が生じている。
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今後の研究の推進方策 |
研究実施計画の第1段階は終了しているため、引き続き第2,第3段階を進めていく予定である。研究第2段階についてはTD-NIRS機器調整による影響を排除するために、まずは機器調整前に収集していたデータのみでの解析を行う。肺血流増加型の患者は20名の測定を終えているため有意な結果を導き出せる見込みであるが、肺血流減少型の患者は10名程度しか測定できていないため十分な統計的解析を行えない可能性がある。したがって、機器調整後の患者のみで統計解析を行えるように引き続きデータ収集を行なっていく予定である。研究の第3段階については、すでにTD-NIRS測定値と患者の循環指標を同時に取り込むシステムを構築できているため、研究第2段階と第3段階を同時に遂行することで研究計画の遅れを取り戻す予定である。
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