研究課題/領域番号 |
22K09126
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55060:救急医学関連
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
野村 泰充 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (30596771)
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研究分担者 |
中野 章代 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (10707441)
矢野 寿一 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (20374944)
川口 昌彦 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (60275328)
中野 竜一 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (80433712)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 薬剤耐性菌 / ESBL / 救命救急センター / 市中感染 / 三次病院 / 院内感染 / プラスミド / 接合伝達 |
研究開始時の研究の概要 |
β-ラクタム系薬は、臨床で使用される有用な抗菌薬であるが、ESBL産生菌はセファマイシン系薬やカルバペネム系薬を除き、ほとんどのペニシリン系薬やセファロスポリン系薬に耐性を示すため、ESBL産生菌の問題は重要である。また、耐性遺伝子はプラスミドに位置するものがほとんどであり、プラスミドが菌種を越えて伝達していくことから、一度検出されると早急に伝播拡散する危険性があり、医療関連感染対策上問題となる酵素である。院内感染や集中治療領域で問題となるESBL産生菌の市中における動向を研究することにより、市中における対策はもとより、院内感染や集中治療領域における問題に対する解決の糸口になる可能性がある。
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研究実績の概要 |
近年、ESBL産生大腸菌は、院内感染菌のみならず市中感染症の原因菌となることが報告されている。救命救急センターにおいても外来時での培養検査で分離されることがある。ESBL産生菌は、接触感染で広がることが多く、また耐性遺伝子がプラスミド上にあるため伝播能が高く、感染対策が重要な病原体である。本研究では、救命救急センター由来の患者からの分離菌を解析することにより、市中感染症におけるESBL産生大腸菌の状況を把握することができる。また、救命救急センター由来株を対象とすることから、本研究は、市中、病院内と両方の分離状況を正確に反映するものと考えられる。また、患者背景を調査することにより、患者と感染状況の関連性を調べることが出来る。 現在奈良県内の三次医療機関救命救急センターの外来患者から分離されたESBL産生大腸菌110株に対し、MALDI-TOF MS (VITEK MS)による菌種の同定、ディスク拡散法(DDST)によるESBL産生の確認試験、寒天平板希釈法(CLSI法)による薬剤感受性試験(MIC)、PCRとDNAシークエンシングによる耐性遺伝子の解析、MLST解析によるゲノム型別の判明、液体培養法による接合伝達実験と伝達頻度の測定、IncPCRによるESBL産生遺伝子保有プラスミドのレプリコン型別の判定、接合伝達実験により得られた株に対して寒天平板希釈法(CLSI法)による薬剤感受性試験(MIC)、IncPCRによるESBL産生遺伝子保有プラスミドのレプリコン型別の判定まで実験は進行している状況である。 研究内容に関して、2023年11月に開催された第93回日本感染症学会西日本学術集会・第71回日本化学療法学会西日本支部総会及び2024年4月に開催された第34回ECCMIDにて発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究は当初の計画通りに概ね進行していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は救命救急センターで分離されるESBL産生大腸菌と患者背景(性別・年齢・搬送理由・疾患・バイタルサイン・既往歴・入院歴・抗生剤投与歴・海外渡航歴等)との関連性を調べ、そして、ESBL産生菌検出のリスク因子を調査し、出来れば救命救急センターに搬入・来院する患者がESBL産生菌感染症であるかどうかを予測するスコアを検討する。また、ESBLの遺伝子型と患者背景との関連性も調査する。患者の背景因子をカルテ上から取得するための倫理審査はすでに通過しているため、あとはカルテ上から情報を取得するのみである。
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