研究課題/領域番号 |
22K09134
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55060:救急医学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
奥根 祥 筑波大学, 附属病院, 病院登録医 (10932220)
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研究分担者 |
丸島 愛樹 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (40722525)
早川 幹人 筑波大学, 医学医療系, 講師 (80450229)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 近赤外線分光装置 |
研究開始時の研究の概要 |
2019年より一次脳卒中センターの認定が進み,地域脳卒中診療体制が構築されつつある.一方で,血栓回収療法の適応となる脳主幹動脈閉塞(LVO;large vessel occlusion)疑い例を,治療可能な施設に優先的に搬送するための早期診断方法が模索されている.本研究はNIRO-Pulse を用いた Prehospital LVO診断技術を作成し,実際の救急搬送で使用しその有用性を検証する.さらに通信機器を用いてNIRO-Pulseのデータをリアルタイムに救急車内から受診できるような環境を構築し,搬送時間を短縮し迅速な血栓回収療法の施行を目指す.
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研究実績の概要 |
①NIRSデバイス(NIRO-200NX;浜松ホトニクス)を用いて前向きに蓄積されたデータベースを用いた後方視的観察解析を行った.このデバイスは全ヘモグロビン,酸素化ヘモグロビン,脱酸素化ヘモグロビンの脈動による濃度変化を波形として表示するモード(NIRO-Pulse)をオプションとして有し,脳循環を視覚的に捉えることでき,診断能向上が予想される.2022年4月から2022年10月までの脳卒中が疑われる症例をNIRO-Pulseを用いて評価をおこなった.さらに,脈波形の酸素化率(PlsO2)を算出した.主要評価項目は脳主幹動脈閉塞の診断精度で,各データの脳梗塞側/正常側比により解析した.脳卒中が疑われた174症例のうち,NIRO-Pulseが適用されたのは111症例で,92症例については後方視的解析が可能であった.相対PlsO2は脳主幹動脈閉塞群で有意に低下した(99.24[95.98-103.00] vs 100.67[99.26-104.44],p=0.006). 脳主幹動脈閉塞における相対PlsO2のAUCは0.689(95%CI 0.561-0.818)であり,最適カットオフを用いた感度92.6%,特異度41.7%,陽性的中率66.7%であった.この研究では,脳卒中疑い患者において,NIRO-Pulseが脳主幹動脈閉塞を検出できる可能性を示唆している. ②世界のRNP213の遺伝子研究に関する調査を行い,疾患iPS細胞を使った基礎研究立案,当院での脳卒中患者におけるRNP213の臨床研究を始める準備が進行中である. ③健常者のiPS細胞から神経系細胞に分化誘導を行った.今後は内皮細胞への誘導試薬を購入予定であり,健常者と脳主幹動脈閉塞患者,もやもや病患者由来の疾患iPS細胞を用いて,内皮細胞の形態的,機能的評価を行う予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
NIRSを用いた診断は妥当と考えられる,より精度を高めるためには,測定時のノイズが問題になっており,血流画像データに合わせて解析ツールの調整を行っている.論文作成はおおむね終了しており,最終解析をまって投稿予定である. 資料採取に関しては,採血検体およびカテーテルを考えており,患者由来のiPS細胞を樹立することで脳虚血モデルの作成を行うこととした.そのための倫理審査をおこなっており,今年度後半には開始できる予定である.
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今後の研究の推進方策 |
解析ツールの完成をもって論文を投稿する.RNF213遺伝子のp.R4810K変異陽性迅速診断を行った患者に対して再度PCRを行い,診断精度が妥当であるかを検討する.陽性患者の血液より,疾患iPS細胞を樹立し,血管内皮細胞に分化誘導を行い,健康なiPS細胞,もやもや病患者由来の疾患iPS細胞から誘導した内皮細胞との細胞特性の比較を行い,画像データも含めて,NIRSに与える影響を確認する.
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