研究課題/領域番号 |
22K09181
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55060:救急医学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
大野 雄康 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (00745333)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 重症熱傷 / サイトカインストーム / 骨格筋萎縮 / Interleukin-6 / JAK/STAT3 pathway |
研究開始時の研究の概要 |
熱傷誘発性骨格筋萎縮は患者の生命予後、機能予後の両方を悪化させ、深刻な影響を及ぼす重大な合併症である。しかしその治療薬は知られていない。JAK-STAT3経路は、癌性カヘキシーの発症に重要な役割を果たす分子経路である。しかし、熱傷骨格筋萎縮に関与するか不明である。本研究では、モデルマウスを用い、JAK-STAT3シグナル阻害剤が熱傷誘発性骨格筋萎縮の治療になりうるか検討する。
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研究実績の概要 |
世界では年間900万人以上の重症熱傷患者が発生し、甚大な健康被害を引き起こしている。重症熱傷では全身性炎症反応に引き続き、高頻度で骨格筋萎縮が起きる。しかし、熱傷誘導性骨格筋萎縮の分子メカニズムは十分に解明されておらず、薬物治療などの新規治療開発の妨げとなっている。炎症性サイトカインのうち、Interleukin-6 (IL-6) は熱傷の重症度と比例し血中濃度が上昇する。さらにIL-6/STAT3経路は、癌、不動化、 敗血症などの骨格筋萎縮に関連している。これらの知見を総合し、IL-6/STAT3経路の抑制が熱傷誘導性骨格筋萎縮の新規治療ターゲットになるのではないかと着想した。 今年度は主にマウスを用いた研究を行った:12-16週齢の雄性C57BL/6Jマウスに全身麻酔を導入後、背部を90℃/36℃の恒温槽にそれぞれ9秒浸し、体表面積20%の3度熱傷/Shamモデルを作成した。熱傷/Sham群のそれぞれに、STAT3 特異的阻害薬C188-9 (50mg/kg) もしくはvehicleを腹腔内投与し、処置1-3日後に前脛骨筋を摘出し分子細胞学的、形態学的、および機能評価を行った。 熱傷処置により、血漿中および前脛骨筋のIL-6 が増加し、前脛骨筋のSTAT3経路 (P-STAT3/STAT3比の上昇)およびユビキチンプロテアソーム(UPS)経路 (MuRF1、Atrogin-1発現上昇)が活性化し、骨格筋萎縮と前肢の筋力低下が誘導された。C188-9投与により前脛骨筋のSTAT3経路とUPS経路の活性が減弱し、骨格筋萎縮が改善し、筋力が増加した。 C188-9はマウス生体内で熱傷誘導性のタンパク融解シグナルを抑制し、骨格筋萎縮を形態的および機能的に改善した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記のようにマウスを用いた研究で、ポジティブなデータも出ており、おおむね順調に進行したと判断する。
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今後の研究の推進方策 |
すでに一部取り組んでいるが、本年度はC2C12細胞と熱傷マウス血漿を用いin vitroで検討を進めていく方針である。
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