研究課題/領域番号 |
22K09185
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55060:救急医学関連
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
油布 邦夫 大分大学, 医学部, 准教授 (00437930)
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研究分担者 |
行天 啓二 大分大学, 理工学部, 准教授 (80305028)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 病院前心電図 / door-to-balloon time / ST上昇型心筋梗塞 / 急性心筋梗塞 / クラウド型心電図 / 救急搬送 / Covid19 / パンデミック / クラウド心電図伝送システム / 人工知能 / PCI |
研究開始時の研究の概要 |
急性心筋梗塞患者の経皮的冠動脈インターベンション(PCI)においてDoor to balloon time (DTBT;患者の病院到着から冠動脈閉塞の再疎通までの時間)を短縮することは重要である。現状では急性心筋梗塞を疑う患者の搬送先は原則現場で救急隊が決定せざるを得ない。一方,人工知能 (AI)の研究が医療分野でニーズを高めている。救急車内でAIを利用して救急隊がPCI施設への緊急搬送の必要性を即決できれば病院前心電図の運用頻度と搬送効率が上がる。AIを用いてPCI施設への緊急搬送判断プログラムを構築,救急車に搭載することでDTBTを短縮し急性心筋梗塞患者の救命率を上げることをめざす。
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研究実績の概要 |
大分県におけるST上昇型心筋梗塞患者に対する病院前12誘導心電図システムの有用性を以下の内容でCirculation Journalへ報告した。病院前12誘導心電図を用いてprimary PCIに成功した連続123例のSTEMI患者をP-ECG群に、P-ECGを用いなかった同等の117例のSTEMI患者を従来群に割り付けた。Door-to-reperfusion時間には農村部と都市部で有意差はなかった。平日夜間・休日のDoor-to-reperfusion時間は、都市部のP-ECG群の方が都市部の従来群より短かった。平日昼間では両群間に有意差はなかった。再灌流までの時間は,平日夜間・休日では都市部のP-ECG群が都市部の従来群より有意に短かった。しかし、平日昼間では両群間に有意差はなかった。以上から、都市部においても、特に平日夜間や休日にST上昇型心筋梗塞を発症した患者において、病院前12誘導心電図が有用であることが示唆された。 また病院前心電図と循環器救急体制について現状を含めて詳細を循環器内科 第93巻第3号に報告した。 第88回日本循環器学会学術集会(神戸)ではシンポジウムで以下の内容を講演した。病院前12誘導心電図システムを用いてprimary PCIを受けた都市部のSTEMI患者87例をP-ECG群に、P-ECGを用いなかった都市部のSTEMI患者103例を従来群に割り付けた。パンデミックが始まる前をPre-Covid期間、パンデミック発生後をCOVIT期間と定義した。従来群では、Covid期の救急車現場到着-再灌流時間およびDoor-to-reperfusion時間がPre-Covid期より有意に長かった。しかしP-ECG群ではそれらに両期間間で差はなかった。以上よりパンデミック時、P-ECGは都市部のSTEMI患者の搬送と転帰に利点をもたらすであろうことが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は病院前12誘導心電図が都市部において、特に平日夜間や休日にST上昇型心筋梗塞を発症した患者において有用であることをCirculation Journal 2023に報告した。 第88回日本循環器学会学術集会においても、病院前12誘導心電図がパンデミック時に都市部のSTEMI患者の搬送と転帰に利点をもたらすかもしれないということをシンポジウムで講演した。これは英論文で報告予定としている。その他データ収集や解析も順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は病院前心電図データを更に蓄積していきながら詳細な解析を進めていく。病院前12誘導心電図と近年医療界に大きなインパクトを与えたCOVID-19のパンデミックに研究の焦点を広げたい。パンデミックにおける都市部のSTEMI患者の搬送と転帰に病院前心電図がもたらす効果について解析する予定である。 また人工知能への心電図学習について共同研究者と議論し心電図の信号化について課題があることを認識したため、今後の救急隊より伝送された心電図をMFER形式で保存することを試みる予定である。 さらに2023年度より東海大学循環器内科やハーバード大学の研究員と連携することを画策しており今後のAIの解析発展を進める。
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