研究課題/領域番号 |
22K09195
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55060:救急医学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
山口 順子 日本大学, 医学部, 准教授 (50570511)
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研究分担者 |
木下 浩作 日本大学, 医学部, 教授 (90260968)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 重症敗血症 / ポータブル自動瞳孔計 / 自律神経反応 / 分時換気量 / バイタルサイン / HRV / 予後予測 / 自動瞳孔計 / 敗血症 |
研究開始時の研究の概要 |
自律神経系は、内分泌系、免疫系とともに、生命維持に必要な恒常性維持を担う。重症病態における自律神経系の異常反応は、転帰と関連があることが知られている。瞳孔は観察が容易で自律神経支配を受ける。本研究で自動瞳孔計で敗血症患者における自律神経系の活動状態と重症病態との関係性を捉えることができれば、より安価でベッドサイドで迅速かつ簡便に敗血症病態の解析が行えることとなり、転帰予測に有用なツールになる可能性がある。
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研究実績の概要 |
令和4年度から令和5年1月の間、新型コロナ診療への従事、自施設のセントラルモニター、電子カルテリニュアルに伴い、重症敗血症症例のエントリーが困難となり、また予後予測因子3項目の自施設での測定が困難となり、研究計画の見直しを行った。令和6年2月までに25例の敗血症症例を組み入れた。十分な症例組み入れが行えなかった間、感染増悪によるCO2ナルコーシス症例のバイタルサインと換気応答及び瞳孔計データの推移の変動について瞳孔収縮速度とPaCO2の推移が変動していることを示す論文が受理された。(Medicine. 2023 May 12;102(19))。組み入れ25例の平均年齢は、77.4歳で、男女比は15:10であった。ショック症例は13例で、平均ICU滞在日数は7.3日であった。死亡例は7例である。詳細な統計学的分析に至っていないが、経時的に測定した脈拍数、血糖値、PaCO2などの自律神経応答と関連するバイタルサインは自動瞳孔計の示す瞳孔径の変化と瞳孔収縮率の変動と連動していた。非ショック症例では、脈拍数と血糖値と自動瞳孔計で測定した瞳孔径と瞳孔収縮率との連動が明確で、HRVのHF/LFとsBP/LF値との連動の傾向があった。しかしショック症例では、必ずしも、瞳孔測定値とバイタルサイン指標との連動は一致していない。症例のほとんどが瞳孔径が3mm以下の経過で瞳孔収縮率と瞳孔径の変動は鋭敏に一致していた。予後予測因子として測定した3項目(IL-6,NSE, HMGB1)の生存群、死亡群との比較では、入室時IL-6,HMGB1については、死亡群が高値を示し(IL-6(pg/ml)生存群:死亡群=939.2:10013.58, HMGB1(mg/ml)は8.88:11.8)で、NSE値(ng/ml)は生存群で高値(179.1:14.7)を示し、両群とも経時的に低下した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度から令和5年1月の間、新型コロナ診療への従事、自施設のセントラルモニター、電子カルテリニュアルに伴い、重症敗血症症例のエントリーが困難となり、また予後予測因子3項目(IL-6,HMGB1,NSE)の自施設での測定が困難となったため、研究計画の見直しを行い、外注による測定を開始した。 このため症例の組み入れが遅れているものの、これまでに25例の対象症例を行い、研究の遅れは改善しつつある。次年度の研究費を用いて、症例組み入れが行えると判断しており、研究は概ね順調に進展している。感染増悪によるCO2ナルコーシス症例によるバイタルサインと換気応答及び自動瞳孔計データの推移の変動について瞳孔収縮速度とPaCO2の推移は変動していることを示した論文を作成し、受理された(Medicine (Baltimore). 2023 May 12;102(19)。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナ感染症との対峙、自施設の研究環境による研究計画の見直しにより、令和4年度に予定していた組み入れは遅れたことや、現在も新型コロナウイルス感染症疑似の段階でHRV測定が不可能な病床に一時収容する点が生じることがあり、現時点では対象症例組み入れは25例と予定症例に到達していないが、自施設の敗血症症例は年間約100例であり、目標症例の組み込みは可能と判断している。引き続き解析を進めながら、本研究の目的である重症敗血症の自動瞳孔計による瞳孔反応と自律神経応答の関係性を同時測定したバイタルサイン(脈拍数、呼吸数、血圧)やHRVの結果を分析することで明らかにする。また予後予測因子との関連性について明らかにする予定である。また通常診療における一般採血項目で算出される栄養状態や疾病重症度との関連について検討する予定である。
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