研究課題/領域番号 |
22K09200
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56010:脳神経外科学関連
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
木下 学 旭川医科大学, 医学部, 教授 (40448064)
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研究分担者 |
有田 英之 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所), その他部局等, 脳神経外科 部長 (60570570)
金村 米博 独立行政法人国立病院機構大阪医療センター(臨床研究センター), その他部局等, 機関長・部門長クラス (80344175)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 神経膠腫 / MRI / 定量的MRI / Radomics / Glioma / relaxometry |
研究開始時の研究の概要 |
現行の医療技術では術前のMRIから治療に入る患者の予後ならびに提供すべき治療の目的と方法を決定的に左右する腫瘍の分子遺伝学的診断を手術前に得ることはできず、さらに、腫瘍組織の脳内への広がりの概要をMRI画像で正確に同定することもできない。神経膠腫を治療する臨床現場ではこの2つの問題を抱えながら患者の治療に当たっているのが現状である。本提案研究ではこれらの問題を研究代表者の「定量的MRI」というMRI画像技術に関する知識を中心において脳腫瘍外科医としての経験と洞察も動員しながら解決することを目指す。
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研究実績の概要 |
分子生物学を基盤においた創薬技術の進歩により、神経膠腫に対する治療概念が今後大きく変わっていくことが見込まれる。IDH変異に対する選択的分子阻害薬を臨床応用できる可能性が高まっているが、このような薬剤の適応を明らかにするためには現状では手術で腫瘍検体を採取し調べることが必要となる。脳腫瘍手術が抱える侵襲性を考えると、放射線画像のような非侵襲的な手段で腫瘍の分子遺伝学的特徴を診断できるような技術の開発が求められている。また神経膠腫は大脳という神経組織内に発生する悪性腫瘍という特徴を有するため、この疾患を適切に治療するためには、「腫瘍学」の視点から病態を可視化する必要がある。しかしながら、現行のMRI画像が病態を必ずしも正確に描出できていないにもかかわらず、神経膠腫の治療戦略はMRI画像を重要視して計画されている。本研究はこれらの問題を解決することを目的として、脳組織の画像化技術として世界で最も普及しているMRIで、「qMRI」に着目して神経膠腫の分子遺伝学的情報と腫瘍組織の脳内での空間的分布を可視化することを目指している。 その一方で、qMRIは、従来のMRIと異なり、撮影組織のT1・T2緩和時間の絶対定量値を測定することができる新規のMRI撮像技術であるが、一般臨床現場ではまだ実用化されていない。 2022年度は「神経膠腫のqMRIデータの蓄積」を主な研究目標においていた。本施設でqMRIを取得するシステムを構築することができた。また2022年度にのべ42例のqMRIを蓄積することができた。研究代表者の前任地である大阪国際がんセンターで撮影されたものを含めると総数のべ70例のqMRIが取得されたことになり、国内外で有数のコホートを構築することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度に予定した「1)神経膠腫の経時的qMRIデータの蓄積」を達しており、上記の判断とした。
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今後の研究の推進方策 |
来年度(2023年度)は当初の予定通り、下記のデータ解析を行う。
「広範囲遺伝子解析データ解析」 凍結検体抽出DNA/RNAを用いて、次世代シークエンサーによる解析をおこなう。これまでの先行研究データなどから、神経膠腫におけるdriverとなる遺伝子を中心にパネルを作成、target sequencingおよびdeep sequencingによる変異アレル頻度の測定をおこない、遺伝子プロファイルの差を明らかにする。また、DNAのメチル化状態 (Methylation EPIC BeadChipで評価) や、DNAコピー数評価も行なう。
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