研究課題/領域番号 |
22K09207
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56010:脳神経外科学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
安原 隆雄 岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (50457214)
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研究分担者 |
内藤 宏道 岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (00536774)
道上 宏之 岡山大学, 中性子医療研究センター, 准教授 (20572499)
菱川 朋人 川崎医科大学, 医学部, 教授 (60509610)
田尻 直輝 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 准教授 (80782119)
佐々木 達也 岡山大学, 大学病院, 助教 (80790865)
佐々田 晋 岡山大学, 大学病院, 助教 (80908088)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 慢性外傷性脳症 / 幹細胞移植 / タウ蛋白 / 遺伝子発現 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、再現性・精度の高いCTEモデルを確立し、行動学的な変容とリン酸化タウ蛋白の蓄積具合を明らかにすることを1つめの目的とする。2つめの目的として、CTEにおける炎症性サイトカイン、細胞増殖、アポトーシス等に関連する遺伝子発現を明らかにすることである。3つめの目的としては、CTEにおける細胞療法(特にヒト骨髄由来多能性幹細胞の動脈内投与)の治療効果を明らかにすること、及び、タウ蛋白蓄積や遺伝子発現がどのような変化を受けるか明らかにすること とする。
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研究実績の概要 |
慢性外傷性脳症モデル確立と経動脈的幹細胞移植:タウ蛋白と遺伝子発現の変化に迫るについて、2022年度・2023年度の達成状況を報告する。 2022年度に最低限達成したかった、慢性外傷性脳症モデルの確立には成功することができた。50gのおもりを用いて30㎝の高さからの損傷を与えると、死亡率は0%、かつ、H.E.染色で明らかな外傷性変化を認めなかった。単回損傷ならば、行動学的変化も見られなかったが、24時間毎に2回・3回頭部外傷を与えることで、行動学的変化が明らかにしめされると判明した。条件設定はこれで確定することができた。極めて再現性・精度の高い慢性外傷性脳損傷モデルを確立できたと考えられる。 2023年度には、各群のラット数を調整し、行動学的評価・組織学的評価データを蓄積した。mild TBIでも、わずかな行動学的異常が出現すること、組織学的に出血などは一切見られないが、GFPA陽性のAstrocytesの増生が各所(Prefrontal cortex, Corpus callosum, CA1, Dentate gyrusなど)で見いだされ、その効果はmicrogliaの増生効果よりも長い期間続いていた。リン酸化タウ蛋白も、同様に脳内で様々な部位に確認された。現在、英語論文執筆中で、2024年度中には論文の形で世に発信したいと考えている。 なお、細胞移植については、脳梗塞モデル動物に対して多数行うことができた。特に、ヒト骨髄由来多能性幹細胞移植を脳梗塞モデルラットに対して24時間後に脳内移植し、リハビリテーション併用療法の意義を明確に示すことができた。臨床試験でも極めて重要だと位置づけられている細胞療法におけるリハビリテーションの意義を、逆に基礎研究で示すことができた。(Yabuno S, et al. Stem Cell Res Ther 2023)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
条件設定がどの程度困難か、少し不透明な部分もあったが、かなり順調に、2022年度に条件設定を進められることができた。これは、モデル作製の容易さや、頭部に加わった衝撃を定量的に評価できることなど、優れた装置を使用できていることによると考えている。 2023年度は、具体的な多様な行動学的評価・組織学的評価を進められ、結果が得られた。タウ蛋白の発現も脳内各所で増加し、遷延することも明らかとなった。現在、学会発表を行い、論文執筆を行っている。来年度は、遺伝子発現の変化を調査すること、細胞療法の治療効果を確認することを目的に進んでいく所存である。
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今後の研究の推進方策 |
最終年には、2023年度までに得られたデータをしっかりと解析し、再現性の高い、最適なCTEモデルがいかにつくられるかを、学会発表や論文執筆で世の中に発信する。 また、遺伝子発現についても、CTEモデルラット脳の遺伝子発現を網羅的に解析することで、炎症・細胞増殖・アポトーシス 何がCTEの病態に関与して変動するかに迫りたい。 細胞療法による治療効果判定まで進められるように、一つずつできることをクリアしていく所存です。
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