研究課題/領域番号 |
22K09215
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56010:脳神経外科学関連
|
研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
久保 慶高 岩手医科大学, 医学部, 准教授 (00316366)
|
研究分担者 |
幸治 孝裕 岩手医科大学, 医学部, 特任講師 (80382604)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | くも膜下出血 / 脳動脈瘤 / 活性化ミクログリア / [11C]-PK11195 / 高次脳機能障害 / 炎症 |
研究開始時の研究の概要 |
くも膜下出血(SAH)患者では高次脳機能障害を認めることが少なくない。脳が傷害を受けると誘導される活性化ミクログリアがアルツハイマー病患者などの脳に蓄積し、認知機能障害に関与していることが近年、注目されている。活性化ミクログリアは炎症性サイトカインなどを放出して細胞障害を惹起する。この活性化ミクログリアの脳への蓄積は[11C]-PK11195を用いたPETで可視化が可能である。そこで、本研究ではSAHの「急性期における炎症の活性化」に伴う「慢性期の活性化ミクログリア」の蓄積と高次脳機能障害の関わりを明らかにし、SAH患者の高次脳機能障害の治療に応用することを最終的な目標とする。
|
研究実績の概要 |
脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血(SAH)患者では、脳に大きな器質的病変がないにも関わらず、脳機能障害を認めることが少なくない。特に高齢者では行政的サポートも必要であり、大きな社会問題の1つと考えられる。我々は以前からSAHを全身的な炎症性疾患と捉え、SAHの転帰に炎症性サイトカインや接着分子のup-regulationが関与していることを報告してきたが、脳が傷害を受けると誘導される活性化ミクログリアが炎症性サイトカインなどを放出して細胞障害を惹起することが近年、注目されている。この活性化ミクログリアの脳への蓄積は[11C]-PK11195を用いたPETで可視化が可能である。そこで、本研究ではSAHの「急性期における炎症の活性化」に伴う「慢性期の活性化ミクログリア」の蓄積と高次脳機能障害の関わりを明らかにし、SAH患者の高次脳機能障害の治療に応用することを最終的な目標としている。本年度ではまず当施設における高齢のSAH患者の転帰を検討した。1994年4月から2019.6月まで当科でクリッピングを行った80歳以上の前方循環の破裂脳動脈瘤患者87人のうち、最終転帰まで追跡し得た66人を対象とし、退院時の転帰良好群(26人)と不良群(40人)で、年齢、性別、既往症、術前のmRS、H-H grade、Fisher分類、瘤の部位とサイズ、スパスムによる脳梗塞、水頭症の有無、手術合併症、全身合併症、診察または電話での追跡調査による最終的なmRS、生存期間、死因を統計学的に検討した。退院時に転帰不良となる因子は、単変量解析ではH-H gradeと手術合併症で、多変量解析では手術合併症の有無であった(P=0.043, OR 7.9)。生存期間は全対象66人では53.3ヶ月で、退院時の転帰不良群は41.2ヶ月で転帰良好群97.3ヶ月より有意に短かった。術前の神経学が良好な患者に手術合併症を起こさないことが必要と考えられた(Kubo Y et al. J Stroke Cerebrovasc Dis. 2022)。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナ感染とウクライナ情勢による患者対応、物品確保、流通の問題により、[11C]-PK11195を用いたPET測定は不可能であった。今後も行えるかどうか不明である。
|
今後の研究の推進方策 |
脳に大きな器質的病変がない外科的治療が行われたくも膜下出血患者において、発症6ヶ月と18ヶ月後に[11C]-PK11195を用いたPET測定を行い、大脳皮質、視床、中脳、橋、海馬、扁桃体、海馬で活性化ミクログリアの蓄積をSPM2を用いて評価する。また、同時期にWAIS-RとWMSを用いて神経知能検査を行う。
|