研究課題/領域番号 |
22K09219
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56010:脳神経外科学関連
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
齋藤 紀彦 東邦大学, 医学部, 准教授 (60459766)
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研究分担者 |
長田 拓哉 東邦大学, 医学部, 准教授 (40303242)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 膠芽腫 / アロマ / 新規治療 / ツヨプセン |
研究開始時の研究の概要 |
膠芽腫は強い治療抵抗性を示す予後不良な脳腫瘍であり、治療抵抗性克服に向け様々な研究が行われている。アスナロは日本固有の樹木で、防虫効果や爽やかな香りから建築用資材として利用されてきた。申請者らは先行研究で、アスナロから抽出した精油成分が膠芽腫細胞に対して強い抗腫瘍効果を示す事を見出し、さらにアスナロ精油中から抗腫瘍効果を示す因子としてツヨプセンを同定した。ツヨプセンは低分子化合物であり、空気中に蒸発しやすい事から、“香り(アロマ)”を用いた新しい膠芽腫治療が期待できる。本研究で、ツヨプセンの膠芽腫に対する抗腫瘍効果の作用機序を明らかにし、ツヨプセンが抗腫瘍アロマになり得るかを検討する。
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研究実績の概要 |
令和5年度はツヨプセンの抗腫瘍作用を解明すべく、下記の研究を行った。 1)ツヨプセンの新規標的タンパクの同定:Drug affinity responsive target stability (DARTS) 法を用いてツヨプセンと結合する細胞内タンパクを同定する。膠芽腫細胞の細胞溶解液にツヨプセンを加えて反応させ、この溶液にthermolysinを加えて37度で30分incubationし、DARTS反応を行い、SDS-PAGEによる解析を行う。このうちツヨプセンと反応して細くなったバンドを切り出してnano-LC-MS/MS解析を行い、ツヨプセンの結合タンパクを同定する。その結果としてMARK42が同定され、ツヨプセンの標的タンパクと推測された。 2)ツヨプセンの抗腫瘍アロマとしての可能性を検討するために、ツヨプセンの蒸散成分における抗腫瘍効果の評価を行った。ツヨプセン溶液(0.001g in 0.1ml)を96 well platesの端のwellに入れ、その溶液と触れない様に他のwellに膠芽腫細胞を入れて24時間反応させたところ、アスナロ精油と同様の増殖抑制効果が得られた。 3)マウス脳腫瘍モデルによる抗腫瘍効果の検討:マウス膠芽腫細胞であるRSV-MをC3Hマウス脳に定位的注入したマウス脳腫瘍モデルを作成し、アスナロ精油の抗腫瘍効果を検討した。脳腫瘍モデルマウスに対してアスナロ精油を1日12時間吸入させた群は対照群と比べ有意に生存期間の延長を認めた。また、形成された腫瘍サイズも縮小しており、アスナロ精油による抗腫瘍効果が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画通り、動物実験まで行うことができ、研究は順調に進展している。研究計画ではヌードマウスを使用する予定であったが、実験設備の面からC3H系マウスを用いる実験に変更したが、特に問題なく施行可能であった。
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今後の研究の推進方策 |
現時点まで研究は順調に進行している。 本年度は、動物実験を行いアスナロ精油の脳内濃度を測定し、脳への移行性や至適投与濃度を検証する。 さらに令和5年度に発見した新規標的タンパクを解析し、作用機序の解明を行う予定である。
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