研究課題/領域番号 |
22K09225
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56010:脳神経外科学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
山口 秀 北海道大学, 医学研究院, 講師 (70399939)
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研究分担者 |
平田 健司 北海道大学, 医学研究院, 准教授 (30431365)
茂木 洋晃 北海道大学, 大学病院, 助教 (40748844)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | glioblastoma / hypoxia / G6PC3 / 膠芽腫 |
研究開始時の研究の概要 |
治療に難渋する膠芽腫において、その治療抵抗性の一つの要因として腫瘍組織内低酸素が挙げられる。我々は低酸素トレーサーであるFMISO PETと、糖代謝をみるFDG PETの二つの核種による膠芽腫の検証において、低酸素内糖代謝の亢進が予後不良因子であることを見出した。本研究では、この臨床的な結果を分子生物学的な観点から検証し、低酸素内糖代謝亢進が膠芽腫細胞活性化にどのように関与しているかについて、その鍵となる候補分子を同定することを主眼にして検証する。膠芽腫における治療抵抗性メカニズムの検証から、新たな治療標的の発見や治療戦略の構築が本研究の最終的な目標である。
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研究実績の概要 |
本研究は膠芽腫における低酸素領域の糖代謝に関して、臨床情報として術前に得られたPETによる腫瘍における生体内の代謝情報と、その摘出された検体における低酸素・糖代謝関連分子の発現に関して、その相関性を調べることが目的である。本研究の元になっているのは、低酸素内糖代謝の亢進が予後不良因子であることを見出した報告である(Toyonaga T, Yamaguchi S, et al. Eur J Nucl Med Mol Imaging, 2017)。 研究2年目にあたる令和5年度は、初年度の研究で行った糖代謝関連分子(GLUT1, GLUT3, G6PC1, G6PC2, G6PC3, HK1, HK2, VEGF、PCNA)の遺伝子発現解析から、G6PC3を候補分子として同定し、その遺伝子発現と予後の相関、また遺伝子発現のデータベース(TCGA)を用いたvalidation解析、免疫染色やWestern blotting法を用いたタンパク発現解析を施行した。また、ここまでの研究の成果について、論文報告としてまとめた。膠芽腫細胞を用いたin vitro研究にて、上記臨床情報から想定される遺伝子発現やタンパク発現などの変動を見る機能解析を行う準備を行っている。培養細胞に低酸素負荷を加えることで糖代謝関連分子の発現がどのように変化するかを検証する予定である。また、膠芽腫の細胞腫によっても低酸素ストレスにおける影響が異なることが判明しており、このメカニズムに関しても検証を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請時に初年度に行う研究内容として報告した事項と、ほぼ合致した研究内容を行うことができている。昨年進捗が遅れていたと報告した候補分子のタンパク発現の検証に関して研究の進捗が見られた。また、ここまでの結果に関して論文としてまとめ、発表した(Okamoto M, Yamaguchi S, Sawaya R, Echizenya S, Ishi Y, Kaneko S, Motegi H, Toyonaga T, Hirata K, Fujimura M. Identifying G6PC3 as a Potential Key Molecule in Hypoxic Glucose Metabolism of Glioblastoma Derived from the Depiction of 18F-Fluoromisonidazole and 18F-Fluorodeoxyglucose Positron Emission Tomography. Biomed Res Int. 2024 Feb 28:2024:2973407.)総じて、研究全体の進捗状況としては、想定通りと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
最終年である令和6年度の研究の主軸は、候補分子の機能解析となる。免疫染色を中心としたタンパク発現解析は終了しているが、膠芽腫細胞株を用いた遺伝子発現解析で、G6PC3の発現が低酸素状況下でどのように糖代謝に影響を与えるかどうかに関して研究を進める細胞内発現部位の検証も重要となってくるため、蛍光免疫染色などを用いたBioimagingも視野に入れている。
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